折笠富美子×「うっせぇわ」、藍原ことみ×「丸の内サディスティック」……“歌ってみた動画”で味わえる、声優ならではの表現力

 関智一や木村昴、榎木淳弥など人気声優が数多く所属する芸能プロダクション「アトミックモンキー」のYouTubeチャンネルにて、人気のJ-POPナンバーをカバーした「歌ってみた動画」がアップされており話題を呼んでいる。折笠富美子が歌ったAdo「うっせぇわ」の動画は、公開から約1カ月で52万回以上の再生数を記録(6月8日現在)。確かな歌唱力と声優ならではの表現力が発揮された、アトモン声優による「歌ってみた動画」の魅力を考える。

折笠富美子がキャラ豹変で歌うAdo「うっせぇわ」

 アトミックモンキーのYouTube公式チャンネルでは漫画やゲームなど、YouTuber顔負けのバラエティに富んだオリジナルコンテンツが多数展開されている。そのなかでも人気を博しているコンテンツが、声優たちがJ-POPを本気でカバーする「声優が歌ってみた」だ。特に折笠富美子が歌ったAdo「うっせぇわ」は、さまざまな声色を駆使したひと癖ある歌唱で、コメント欄でも「これはすげぇ……声のプロってこういうことか」など、賞賛の声が多く寄せられている。

うっせぇわ/ Ado  声優が歌ってみた2nd 折笠富美子 【歌ってみた】【声優】

 折笠は、『BLEACH』の朽木ルキアや『銀魂』(どちらもテレビ東京系)の柳生九兵衛などを代表作に、『スイートプリキュア♪』(テレビ朝日系)や『デジモンテイマーズ』(フジテレビ系)などでキャラクターソングを数多く担当。2003年にはアニメ『真月譚 月姫』(BS-i)のエンディングテーマ「輪廻の果てに…」でCDデビュー。以降『Lune』などアルバムを4枚をリリースしており、伸びやかで透明感あふれるハイトーンが持ち味だ。

折笠富美子『Flower』初回限定盤

 「うっせぇわ」と言えば、全ストレスを発散するように感情を爆発させる、ギラギラしたボーカルが魅力のナンバー。折笠のカバーは原曲の味を残しながら、フレーズごとに次々とキャラを豹変させるテクニックが話題となっている。大人の雰囲気漂うボーカルで始まったかと思えば、その都度ニュアンスを変えていき、歌いながらここまで瞬時に切り替えられるものかと驚くばかりだ。

 また、ドスの効いた〈はぁ?〉からの美しいファルセットとハイトーン、さらにこぶしも効かせるなど、声の表現における数え切れない引き出しを聴かせる。何より折笠自身が非常にノリノリなのがいい。「ギザギザハート寄りの世代なのですが……」といった最後の本人コメントもユーモアたっぷりで、彼女のチャーミングな一面も見ることができる。

選曲でも個性を発揮

 歌唱力と表現力の高さは、ベテランだけでなく、これからを担う声優たちも持ち合わせている。藍原ことみが歌う椎名林檎「丸の内サディスティック」も秀逸だ。藍原は、優里「ドライフラワー」やDISH//「猫」もカバー。「丸の内サディスティック」をカバーした理由については、「猫」を歌った際に椎名林檎を歌ってほしいとのリクエストがあったそうで、それに応える形でカバーしたという。

丸の内サディスティック/ 椎名林檎  声優が歌ってみた2nd 藍原ことみ 【歌ってみた】【声優】

 藍原は『アイドルマスター シンデレラガールズ劇場』(TOKYO MXほか)の一ノ瀬志希役などを筆頭に、その歌唱力には定評がある。一ノ瀬はピュアさのある声だが、「丸の内サディスティック」ではハスキーで気だるさのある歌声を聞かせ、椎名林檎を意識したであろう語尾のニュアンスなど細かい部分でのこだわりにも注目だ。終盤のスキャットは、メロディが自然と口からこぼれ落ちるかのような雰囲気で、一聴の価値がある。

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