『D.LEAGUE』特別対談 第1回
RIEHATA×神田勘太朗『D.LEAGUE』対談 プロリーグとして提示する、新たなダンスの楽しみ方
“世界中すべての人に、「ダンスがある人生」をもたらす”を掲げ、2020年8月に発足した世界初日本発のプロダンスリーグ『D.LEAGUE(Dリーグ)』。そのVision・Mission・Valueに共感したエイベックス、コーセー、サイバーエージェント、セガサミーホールディングス、セプテーニ・ホールディングス、フルキャストホールディングス、ベネフィット・ワン、USEN-NEXT HOLDINGS、KADOKAWAの計9社がチームオーナーとして参画。
各チームはシーズンを通して出演するレギュラーダンサー、監督的ポジションを担うディレクター、そして特別に招くSPダンサーで構成され、レギュラーシーズンの全12ラウンドを戦い、そこから上位4チームがシャンピオンシップに進む。セミファイナル、ファイナルはトーナメント方式。6月末には、初のシーズンチャンピオンが決定する見込みだ。
2020年1月10日の開幕以降、2週に1度というハイペースで開催されている試合では、すべて新作&オリジナル楽曲の使用というかつてない挑戦となっている。その成果を審査するのは、プロのダンサー&エンターテイナーによるジャッジポイントに加えて、オーディエンスポイントとして視聴者が参加できるのも人気の秘密だ。
今回リアルサウンドでは、この『D.LEAGUE』の生みの親である株式会社Dリーグ代表取締役COOの神田勘太朗氏と、avex ROYALBRATSのディレクターとして活躍中のRIEHATA氏の対談が実現。開幕前後の率直な思い、Dリーガーとして活躍するダンサーたちへの祈り、そして『D.LEAGUE』から広がる新たな夢について聞いた。(佐藤結衣)
前代未聞のスピード感で突き進む『D.LEAGUE』
ーー1月の開幕から約4カ月ですが、どのような感想をお持ちでしょうか?
RIEHATA:お話を聞いたときから「すごい規模のプロジェクトが始まる」とは思っていましたが、実際に『D.LEAGUE』の翌朝に試合結果がテレビなどで報道されているのを見て、改めてそのスケールの大きさを感じています。私もいろいろな人から「『D.LEAGUE』すごいね」と言ってもらえる機会も増えましたし、視聴者の皆さんにインパクトを残せていると実感しました。
神田勘太朗(以下、神田):正直、開幕前よりも開幕後の方がプレッシャーを強く感じていますね。なんとしてでも、みんなを人気者にしたいと思っているので。どうやったらもっと注目してもらえるのか、どうしたらもっと人にフォーカスしてもらえるのか……そんなことを考え続けていたら、あっという間に後半戦のラウンドになってしまいました(笑)。これはディレクターも共通だと思いますよ。「この前、開幕したのに、もう?」みたいな。
RIEHATA:本当にそうですね。自分で振りを作っているはずなのに、「本当にこんなに作ったの?」って(笑)。
神田:ダンサーならわかると思うんですが、2週間に1回で新ネタのダンスを1本上げてくるって、本当にクレイジーなスピード感なんですよ。それをこなしているディレクター、およびDリーガーたちはとんでもないし、それがむしろ当たり前になってきてるから、改めて『D.LEAGUE』って世界観はすごいと思いますね。
ーーそのスケジュールを決められたのは、神田さんですか?
神田:そうです(笑)。これも『D.LEAGUE』を創る上で、配信サービスの会社さんとお話したときに、「サッカーや野球のプロリーグは3連戦とか、週2回とか当たり前だよ? 毎週できないの?」と言われてしまって。僕もダンサーなので「ちょっと待って、それは絶対に無理!」と。でも、プロリーグにするからには、継続して見られる習慣から作らなくちゃいけない。視聴者の「見たい」とダンサーの「やれる」のギリギリを詰めて、2週間に1回の開催としたんです。
ーーディレクターさん同士で「これは大変だ……」みたいな話になったことは?
RIEHATA:あります、あります! 「もし、これが5分だったらやばいよね」とか「毎週だったら無理だったよね」とか(笑)。開幕の前にそういう話もしました。
ーーDリーガーの皆さんからはどんな反響がありましたか?
神田:『D.LEAGUE』ではフルで2分間ダンスする前に、入場からカウントダウンする演出を取り入れています。これが今までなかったフォーマットなので、僕もわからなかったんですけど、出演しているDリーガーたちからすると緊張がヤバいらしくて。
RIEHATA:言ってました! あのカウントダウンが鳴った瞬間、頭が真っ白になって、「ここで何してるんだっけ?」と振りが飛んじゃいそうになるっていうダンサーもいましたよ。だから、みんなあそこで結構「うわー!」とか叫んで自分を保つのに必死になっていますね。
神田:1試合2分間ですけど、入場から退場する余韻まで含めると大体1チーム7〜9分くらいの持ち時間。それを含めて1つのショーとして成立しているのかなと。そういう意味では、開幕戦のときからRIEHATA率いるROYALBRATSは群を抜いていて。コンセプトに合わせたり衣装を変えたり、「そのやり方があったんだ」と、みんなが見て学んでいった感じがある。
RIEHATA:嬉しいです。ROYALBRATSとして試合に勝ちたいというのはもちろんありますけど、初年度の今どれだけ『D.LEAGUE』を盛り上げていくことができるかが、もうひとつのテーマなので。メンバー本人が自己紹介のラップを歌うようにしたのも、Dリーガーたちに人気者になってほしいから。一人ひとりのファンを作ってほしいなと思ってのことでした。
神田:ラウンドを重ねるごとに各チームの中で発見があって、いい意味でサンプリングし合って、また新しい発見があって……と、いい相乗効果が生まれているのを感じますね。きっとシーズン1を戦い終えた後に、またいろいろと気づきもあると思いますし。
RIEHATA:シーズン1は全てが初めてなので、Dリーガーもディレクターも、お互いにアイデアを出し合って、それがシーズン2のお手本になっているんだなという感じがしますね。
神田:もちろん1stシーズンなので、まだまだ改善の余地ももちろんあって。例えば「音源は1週間前までに提出」「できれば振りもそれまでに」というルールを設けたんですが、当然ながらダンサーやディレクターはギリギリで変更を重ねていきたい。だから間に合わないチームも出てくるわけです。その気持ちはわかる。でもそのルールを守ったチームが負けた場合、やっぱり納得しにくいものじゃないですか。なので予め「1stシーズンは融通を効かせてくださいね」と全方位に伝えることを徹底しました。その上で「3日前ならみんなが守れる」という黄金ルールを一緒に作っている感じです。
RIEHATA:誰もやったことのないことですからね。ディレクターたちも最初にルールを聞いたときは「それでいけるんじゃない?」と思っていたのに、実際にやってみたら「無理だった」とかありますから。