映画『花束みたいな恋をした』でも注目のフレンズ、新曲「急上昇あたしの人生」から伝わるポジティブなパワー
1月29日に公開され、ロングヒット中の映画『花束みたいな恋をした』。主人公2人がカルチャー好きということで、膨大な数の固有名詞が登場するのが同作の特徴。映画に注目が集まるとともに、物語を彩る楽曲の人気も高まっている。例えば、Awesome City Clubの「勿忘」(※予告編で使用されている)や、きのこ帝国の「クロノスタシス」など。
フレンズが2017年にリリースした楽曲「NIGHT TOWN」もその一つだ。恋人同士になってから4年、菅田将暉演じる山音麦と有村架純演じる八谷絹は、別れを切り出そうとそれぞれ心に決める。“最後くらいは笑顔で”という思いで過ごす夜、カラオケでデュエットしたのが「NIGHT TOWN」だ。フレンズは男女混合ボーカルのバンドであり、映画では、麦と絹が歌割りも再現。すでに終わりを見つめているカップルが〈君の感覚を頂戴〉〈同じ体温で眠りたいよ〉と歌っているのが切ない。ポップな曲調、楽しそうに歌う2人の姿がその切なさに拍車をかけ、印象的なシーンとなった。(余談だが、「take a chance」も別のシーンで登場する)。
YouTubeで公開されているMVのコメント欄には、『花束みたいな恋をした』をきっかけに楽曲を知った層からのコメントが多数寄せられている。若年層を中心に「NIGHT TOWN」が再注目されるなか、バンドは3月17日、TVアニメ『ホリミヤ』(TOKYO MX)の主題歌「約束」をリリース。続けて4月30日には「急上昇あたしの人生」を配信リリースした。
リリースのスパンが約1カ月しか空いていないことから、バンド内部が勢いづいていることが伝わってくる。認知をさらに広げつつあるタイミングで、いったいどんな新曲を制作したのか。早速「急上昇あたしの人生」を聴いてみたが、“驚いた”というのが一番の感想だ。フレンズといえば、それこそ「NIGHT TOWN」や「約束」のような、おしゃれだけど温かくて甘酸っぱい、横揺れのサウンドを思い浮かべる人が多いだろう。一方、「急上昇あたしの人生」は、縦揺れのダンスナンバーで、ファンクやディスコというよりもEDM寄りのアプローチ。ど頭に入っているジングル的な音、きらきらとしたシンセサイザーの音色、Bメロの転調のしかた、ボーカルや各楽器のメロディライン、いつになくまっすぐなえみそん(Vo)の歌い方、曲全体のダイナミクスの付け方……新鮮味を感じる要素は多数ある。