あいみょん、ドラマ『コントが始まる』主題歌に詰まった葛藤 春斗たちの焦燥とあがきを包み込む楽曲に

あいみょん『コントが始まる』主題歌レビュー

 あいみょんが寄せているコメントによれば、この曲はデビュー1年目、這い上がりたい気持ちが強かった2017年にデモを作っていたものなのだという。

「自ら導いた世界はそう簡単ではなくて、読めない譜面を部屋に投げつけたこともあったし、こんなはずじゃなかったと思うことだらけで、悔しかった。(※1)」

 特別な存在になりたい。でも上手くいかない。そんなあいみょん自身の悔しさや葛藤が詰まっている背景を知ると、この曲は一層胸に迫る。

 『コントが始まる』のキャッチコピーは「『人生』とは壮大な……『コント(喜劇)』 である!?」。このコピーと共にドラマを見ると、チャーリー・チャップリンの「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見ると喜劇だ」という名言が思い出される。

 困難の渦中にいる時にはわからないけれど、あとから振り返ると、その経験が今の自分を支えている、ということがある。「10年やって人気ない奴らに可能性なんてありますか?」と問うた春斗に、マネージャー・楠木はこう答えている。

「今売れてるヤツらは例外なく、もう限界だってなったところからもうひと踏ん張りして来てんだよ。だからここが我慢のしどころなんだよ」

 何気ない出来事が時を経て意味を持つ、そんな「伏線回収」が人生には起こる。今がむしゃらに踏ん張って、いつかのための伏線にすることができるのか、春斗たちはまさしく人生の岐路に立っている。

 苦しさや葛藤と正面から向き合いながら、胸のすくような伸びやかさで歌われる「愛を知るまでは」とともに、春斗たちの晴れやかな未来を期待したい。

※1:https://www.ntv.co.jp/conpaji/musicstaff/

■満島エリオ
ライター。 音楽を中心に漫画、アニメ、小説等のエンタメ系記事を執筆。rockinon.comなどに寄稿。Twitter(@erio0129)

■放送情報
『コントが始まる』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00~放送
出演:菅田将暉、有村架純、仲野太賀、古川琴音、神木隆之介
脚本:金子茂樹
演出:猪股隆一、金井紘(storyboard)
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:福井雄太、松山雅則(トータルメディアコミュニケーション)
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/conpaji/
公式Twitter:@conpaji_ntv

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