櫻坂46 田村保乃は、グループに多様性を与える存在へ 悩みを武器に“タムラノジダイ”切り開く

 たしかに、現在発売されている櫻坂46の2枚のシングルの表題曲はどちらもアグレッシブな楽曲で、田村のイメージとは少々距離感があるかもしれない。しかし、田村のこうした葛藤は先述したモテメンバーグランプリの1位に選ばれたことによって好転していったのだとか。 「“そこさく”での企画で『メンバーが選ぶ彼女にしたいメンバー1位』に選んでもらったことがきっかけで、周りから『人当たりがやわらかいね』とか『優しいね、笑顔がいいね』って言ってもらえることを、もう自分の武器にしちゃえばいいんじゃないかって」(『blt graph. vol.65』より)

 たとえば最近の「BAN」のパフォーマンスを見ていても、「タムラノジダイ」などで見せるふんわりとしたイメージが定着しているため、かえって鋭くクールに決めるステージ上の彼女の表情は記憶に残りやすい。そもそもその振れ幅の大きさが魅力のグループではあるが、その中でもギャップでうまく人を惹きつけているメンバーの一人だと感じる。そして、田村のようにやわらかな魅力を持ったメンバーがいるからこそ、(本人たち曰く)「真逆」のタイプの藤吉のようなメンバーも輝きを増すのだろう。彼女の存在はグループに多様性を与えているのだ。

 悩みを武器に変えたことで、自分らしさを貫きはじめた田村。“田村の時代”はもう間もなくやってくるに違いない。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi/https://twitter.com/az_ogi)

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