2ndシングル『BAN』インタビュー
櫻坂46 上村莉菜×井上梨名×幸阪茉里乃が語る、何色にも染まれることの強みと課題 「魅力をまだ完全に伝えきれていない」
櫻坂46が、4月14日に2ndシングル『BAN』をリリースした。森田ひかる・藤吉夏鈴・山﨑 天の3名が2曲ずつセンターを務める楽曲に加え、「櫻坂の詩」の全7曲を収録。1stシングル『Nobody's fault』から引き続き、三者三様のセンター曲で新しい櫻坂46像を表現している。
昨年末は『NHK紅白歌合戦』に改名後初出場を果たし、2021年に入ってからも音楽番組やバラエティなど、様々なメディアに登場しグループの認知を拡大した櫻坂46。改名以降は挑戦や変化が起こる慌ただしい季節を過ごす彼女たちが、2ndシングル『BAN』をどのように受け止め、それを表現するのか。上村莉菜、井上梨名、幸阪茉里乃の3名に昨年末から現在までの歩みと共に、『BAN』の制作エピソードとグループの現在を聞いた。(編集部)【最終ページにサイン入りチェキプレゼントあり】
配信ライブは毎回感じ方が異なる(上村)
ーーまずは今回の2ndシングル『BAN』TYPE-A付属のBlu-rayにも収録された、昨年12月8日開催のデビューカウントダウンライブについてお話を聞かせてください。あの日が櫻坂46として初めてのライブ、会場は欅坂46がデビューカウントダウンライブを行った東京国際フォーラム ホールAでした。
上村莉菜(以下、上村):そうですね、個人的にも思い出の場所です。だけど、まさか人生で二度もデビューカウントダウンライブをするとは思っていませんでした(笑)。
ーーそう考えると、とても貴重な経験ですよね。皆さん、あの日はどういう気持ちでライブに臨みましたか?
井上梨名(以下、井上):正直なところ、デビューという実感があまり湧かなかったというか、どこか不思議な感覚もありました。あの日は「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」「Plastic regret」「櫻坂の詩」の3曲に参加したんですけど、ライブのオープニングからステージにいないことで、最初から出ていたメンバーと途中から入るメンバーの温度差が気になって。欅坂46の頃も私たち2期生は途中から入ったり抜けたりすることはあったけど、その頃も先輩たちとの温度差を感じることが多かったので、そこをなくしたいなと思って、先にステージに出ているチームがパフォーマンスしている裏で私も一緒に踊って、自分の気持ちを高めてから臨みました。
幸阪茉里乃(以下、幸阪):私は櫻坂46になって、やっと自分がグループの一員になれたという実感が湧いたんです。だから、パフォーマンスをするに当たってもちゃんと自分を見せていこうという気持ちがより強まりましたし、ここから櫻坂46が始まるという大切なライブでもあったので、本当に頑張ろうという気持ちで臨みました。
ーー欅坂46の頃と比べると、自分たちのために作ってもらったオリジナル曲とオリジナルのポジションがあるのは、かなり違いますものね。
幸阪:そうなんです。だから、自分が参加している「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」と「Plastic regret」がすごく好きになりました。
ーー上村さんはどうでしたか?
上村:配信という形でのデビューカウントダウンライブは初めてだったので、お客さんのリアクションがわからないのは不安でしたけど、思いを強く、しっかり届けようとしないと観ているお客さんに伝わらないと思ったので、そこはいつもより緊張しました。
ーー配信ライブ自体は欅坂46時代から何度か経験していますが、慣れというものはあるんでしょうか?
上村:最初は改名を発表したライブ(2020年7月16日)は全然実感がなくて。というのも、イヤモニを通して歓声を入れてもらっていたんです。それで、お客さんが普通にその場にいる感じがしていたんですが、ラストライブのときは欅坂46として最後というのもあって緊張してしまって。今回もデビューカウントダウンライブという形でしたし、毎回感じ方が異なるので、慣れるというのはないかもしれません。
「なんで?」というものを払拭したかった(井上)
ーー大晦日には『NHK紅白歌合戦』に、櫻坂46として初出場。こちらも無観客での開催でした。
上村:以前はステージの裏側も出演者さんやスタッフさんでぎゅうぎゅうな感じがあって、それを目にして「今年も紅白が始まったぞ」と実感していたので、今回は密を避ける形だったから会場の雰囲気が全然違いました。
井上:廊下でほかのアーティストさんと一緒に並ぶこともなく、本当に私たちだけでしたし。
上村:導線も人と極力会わないように遠回りで作られていて。ちょっと寂しさも感じました。
ーーあの日はデビュー曲「Nobody's fault」を、曲後半からメンバー全員でパフォーマンスしましたが、櫻坂46としてデビューから1カ月も経っていないタイミングということもあって、かなり貴重な経験だったんじゃないかと思います。
上村:正直、『紅白』に出られると思っていなかったので、出場が決まったときはすごくびっくりしました。
井上:櫻坂46としてはまだデビューしたばかりで、実績というものは正直ないといっていい存在ですし、そこで「なんで?」と思う方もいらっしゃったと思うんです。でも、そういうものを払拭したかった。櫻坂46を観て「出てくれてよかった」と感じてもらえたり、曲を通じて『紅白』にかける思いが伝わるようにという思いでパフォーマンスしました。
ーーなるほど。幸阪さんはこれが初『紅白』でした。
幸阪:本当に今までにないぐらい緊張して(苦笑)。それに、2019年の『紅白』は先に各坂道グループに配属された子たちが出演しているのをテレビで観て、悔しい思いもあったので、2020年にあとから各グループに加入した子たちが全員参加することができて、みんなで「よかったね、うれしいね」と声をかけ合いました。
ーー現場の空気感は、ほかの音楽番組とは異なるものでしたか?
幸阪:まったく違いました。それに、親や友達からも「観るよ」とたくさん連絡をもらっていたので、自分が失敗したら終わりだなというプレッシャーも感じていて、本番直前までしっかり振りを確認しました。
ーーやっぱり『紅白』は、普段の音楽番組に出演したときと比べてリアクションも増えるんでしょうか?
上村:そうですね。そこで改めて国民的な番組なんだなと感じます。私は欅坂46として初めて『紅白』に出演したあとのお正月(1月4日)に20歳の誕生日を迎えて、成人式に出席したときも周りの反応がすごく大きくて。自分から欅坂46になりましたと誰にも言ってなかったのに、同級生のお母さんから「紅白観たよ」と声をかけてもらったりと、本当にいろんな人が観ているんだなと実感しました。
制作しているときのほうがデビューを強く実感(幸阪)
ーー先ほど井上さんがデビューカウントダウンライブのときに、「デビューという実感があまり湧かなかった」とおっしゃっていましたが、その後実感できた瞬間はありましたか?
井上:やっぱりCDをお店で見かけたり、お店の方が作ってくださったポップを見たときに、「デビューってこういうことなんだ」と強く感じました。それに、ファンの方から「デビューおめでとう」と声をかけてくださることが増えたのも、実感を得られる大きなきっかけになりました。CDをリリースして「おめでとう」と言われることって、初めての経験で。例えば、ライブを行って「おめでとう」でもなかったし、むしろ「楽しかったよ」とか感想を伝えられることばかりだったので、「おめでとう」という言葉に不思議な感覚をうけましたが、素直にうれしかったです。
ーー幸阪さんも自分がジャケットに映ったCDが店頭に並ぶのは、初めての経験ですよね。
幸阪:CDショップに行って、自分がジャケットに写っているCDを見るのが本当に不思議な感覚で、自分じゃないみたいと思っちゃいました。それこそ「本当にここ(撮影)にいたのかな?」という感覚にもなってしまって。
ーー幸阪さんがデビューしたことを噛みしれられるようになったのは、いつ頃でしたか?
幸阪:MV撮影をしていたときかな。完成した作品を観てもあまり実感が湧かないんですけど、逆に制作しているときのほうが強く感じるかもしれません。