UNISON SQUARE GARDEN、ツアー『Normal』に象徴されたバンドの揺るぎない生き方

ユニゾン、ツアー『Normal』レポート

 UNISON SQUARE GARDENの全国ツアー『Normal』、ぴあアリーナMMで行われた追加公演。初めに鳴らされたのは「Phantom Joke」だった。3人でのセッションを経て、斎藤宏介(Vo/Gt)がサビの一節を歌ってからイントロに入る変形アレンジ。どこで息継ぎしているのか分からないボーカルと、広い会場の奥まで伸びていく歌声。怒涛過ぎて、腕が何本あるのだろうか? と疑いたくなるような鈴木貴雄(Dr)のドラム。対旋律並みに激しく動く田淵智也(Ba)のベースライン。このバンドの超絶ぶりがダイレクトに表れている曲だが、それにしても、こんなことをやってのけたうえで「Normal」って! そうツッコみたくなるようなオープニングはしかし序章に過ぎなかった。

UNISON SQUARE GARDEN(写真=Viola Kam (V'z Twinkle))

 MCでの斎藤の言葉を借りると、今回のツアーには“ロックバンドは普通にライブするっしょ”というコンセプトがあるらしく、おそらく「Normal」というタイトルもそこから来ている。現状、ライブを行うには感染症対策のガイドラインを守る必要があるが、裏を返すとそれは“やりようがある”ということ。ゆえに、ロックバンドがライブを諦める直接的な理由には成り得ない、それならば自分たちはガイドラインをしっかり守った上でライブをやります、という意思表明がこのツアーの真ん中にあった。

UNISON SQUARE GARDEN(写真=Viola Kam (V'z Twinkle))

 追加公演2デイズのうち、この記事では初日の3月23日公演をレポート。セットリストはカップリング曲とアルバム曲がメインで、特に2ndアルバム『JET CO.』、6thアルバム『Dr.Izzy』からの曲が多め。なかでも「メッセンジャーフロム全世界」~「コーヒーカップシンドローム」は『JET CO.』の冒頭を再現した展開だ。シンプルなリフとともに進む「メッセンジャーフロム全世界」を終えると、ギターのカッティングを機にテンポアップ。「コーヒーカップシンドローム」のドライブ感へと移る流れは格別に気持ちよかった。

 しかし、このツアーはシングル『Phantom Joke』のレコ発ツアーも兼ねていて、セットリストの自由度が高い=「誰も知らない曲を楽しんでみよう」という思惑があったことを斎藤が明かしたのは、ライブが半分終わったタイミング。つまり前半の時点では「なんか珍しい曲多いな?」という感覚だけがあるのだが、曲間を空けず、数曲を一気に演奏する場面が続いたため、驚いている暇も、何なら拍手をする隙さえも与えられないという状況だ。ポップで開けた曲と硬派でストイックな曲を柔軟に行き来する展開は、まさしくジェットコースターのよう。一寸先の予測は不能のため、今目の前でバンドが鳴らしている音と、それを浴びて動いた感情だけが答えだ。

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