THE RAMPAGE『REBOOT』はファンと向き合ったからこそ辿り着いた新境地

「『自分は結局、何者なんだろう』と無力さ、悔しさを感じてました。(中略)その反面、皆さんに対しての感謝もすごく湧いてきたんです。(中略)今の状況が収まって、また音楽をできたりして…そのときには本当、最高の恩返しができるように頑張りたいです」(※1)

  THE RAMPAGE from EXILE TRIBEのボーカル・川村壱馬がそう語った2020年3月から約1年後、2月24日に3rdアルバム『REBOOT』がリリースされた。

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE『REBOOT』

 本音を言えば、なんて正直なタイトルなのだろうと思った。しかし、それもまたTHE RAMPAGEらしいとも思えた。16人という大所帯で動き続ける彼らの無骨なまでの篤実さが、そこには現れていたからだ。

 まずは、今作で初収録となる3曲に注目したい。1曲目に収録された「SILVER RAIN」はこの作品を定義し形取るために旗を振る、文字通りのリード曲だ。タイトルはステージで浴びせかけられる照明からインスピレーションを得た造語であるとのことだが、恐らくそこには新しい時代を創生するための、いわゆる“恵みの雨”の意味もある。その「雨が降り注ぐ時=この災禍が収束した未来」への希望を描きながら“また必ずステージで会おう”という誓いを示すのが「SILVER RAIN」だ。16人のダンススキルを余すところなく発揮した原点回帰のMVも含め、この曲の表現するものがそのまま“REBOOT”であると同時に、静かな情熱を感じさせる曲調こそが、今のTHE RAMPAGEのモードなのだろう。

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE / SILVER RAIN (MUSIC VIDEO)

 続く2曲目の「SHOW YOU THE WAY」は『機動戦士ガンダム40周年記念 ガンダム×KEN OKUYAMA DESIGN×LDH JAPAN“G40プロジェクト”』のテーマソングとして制作されたため約1年前には世に出ており、音源化が待望されていた楽曲。これほどにテクノビートを前面に押し出した楽曲は過去になかったため、テンポ感はもちろんのこと、少し不穏なAメロからドロップに向かってスピード感と光彩が増していく展開などもかなり新鮮だ。ただ、そんなテクノポップ的サウンドの中でも、勇ましいメロディラインとそこに乗るアタックの強い歌声からTHE RAMPAGEの色味がしっかりと感じられ、迫力ある1曲に仕上がっている。

 そして「BOND OF TRUST」は、文字通り信頼と絆をテーマにした詞と明るいメロディで、アルバムを大団円へと導く楽曲だ。1つ前に収録されている「LIVIN’ IT UP」と同じニュージャックスイングだが、この曲は一段と80年代を意識したサウンドメイクがなされており、その音色と3人の優しい歌声が相乗的に温かみのある空気感を作り出す。また、今作を締めくくる同曲が、THE RAMPAGEとリスナーにとって親しみ深いニュージャックスイングであること自体にも、受け手に対する“信頼”が表れているように思えた。

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