NCT 127、“愛”がテーマの新作でチャート首位に 前作からセールス伸ばした要因は?

 ローカル縛りなきアジアンボーイズグループは、当然のように世界のマーケットをホームと考えます。新作『LOVEHOLIC』で聴けるのはまさに世界標準のポップミュージック、すなわちトラップやR&B、EDMをベースにしたシンセ主体のサウンドです。うなる低音とチキチキハットに彩られた音像の中、メンバーの歌声がさまざまな言語で縦横無尽に飛び込んでくる。激しめのアジテートに興奮し、囁かれる低い声音にドキドキした途端、とんでもなく甘いメロディが心臓をロックオンという感じで、あぁ、これはもう確信犯。“愛”をテーマにした今回の作品は、とにかくセクシーに耳をくすぐってくれる逸品です。デートだけではなく、そのあとの展開も想起させるような歌詞世界も、ちゃんとサマになっている。この艶っぽさも魅力のひとつでしょう。

NCT 127 'gimme gimme' MV

 それにしても、NCT 127の日本デビューミニアルバムは2018年発表で、1stフルアルバム『Awaken』は2019年4月発売でした。そして『Awaken』の時は初週5.3万枚だったセールスが、ほんの2年弱で13万枚にまで飛躍するんですよ。このパワーは一体何なのでしょうか。

 サブスクもだいぶ定着したように見える日本で、K-POPのグループが今とにかくCDを売りまくっている。これは誰が仕掛けた戦略というより、幾多のグループの世界的な活躍、あとはドラマコンテンツが互いに起爆剤となり、今また急速に「Kカルチャーに傾倒していく新規ファン」が増えているのだと思います。たとえば先日美容院でパラパラ見た女性誌では「Kカルチャー総特集」や、「Kメイクのコツ 女優編」「Kメイクのコツ ガールズグループ編」といった特集が組まれていて、ここまで来たか、と唸りましたね。女性マジョリティ層にがっちり浸透したK-POP/Kカルチャーブーム、まだまだ加速していきそうです。

■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。

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