ヒトリエ、無観客でも圧巻の演奏を響かせた7周年記念ワンマン 迫力の映像演出&濃密なグルーブで新作への期待も満載に

ヒトリエ、7周年記念ワンマンレポート

 メジャーデビュー7周年を記念して、1月22日にEX THEATER ROPPONGIで開催されたヒトリエのワンマンライブ『HITORI-ESCAPE 2021 -超非日常六本木七周年篇-』。当初は、有観客ライブをリアルタイムでも配信するという形で開催する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を受け、急きょ無観客での開催にシフト。バンドとしてはやりきれない思いもあったはずだが、それすらもぶっ飛ばすような熱演は、力強く前へと進み続けるヒトリエの姿を見せつけるのに十分だった。

 シノダ(Vo/Gt)の鮮烈なギターリフ、イガラシ(Ba)の唸るようなベースライン、そしてゆーまお(Dr)のドラムが叩き出す高速ビートが1曲目「センスレス・ワンダー」から全速力で走り出す。動き回りながらメンバーにぐいぐい寄るカメラワークがライブのダイナミズムをこれでもかと映し出す。そのまま昨年12月にリリースしたばかりの新曲「curved edge」へ。シノダが作詞作曲を手掛けた同曲だが、ドラマティックなメロディと重厚な3ピースのアンサンブルが、3人体制で本格的な第一歩を踏み出したヒトリエの今を力強く描き出していく。「私には見えます。このEX THEATERを満員にしている無数の念が。心が爆発するようなパーティチューンを次々とお届けしたいと思います」。そんなシノダの宣言から「イヴステッパー」に突入すると、インディーズ時代の楽曲「るらるら」へ。大胆に横長に切り取られた画面がシノダとイガラシの絡みを切り取っていく。

 「2021年の初仕事がEX THEATERでの無観客2デイズっていうのはなかなかにイカれてると思う……」。シノダが画面越しにそう語りかける。前日のファンクラブ会員限定ライブから一夜明けての疲労感に「絶望した」と言いながら、いざライブを始めると「頭がバグって元気が出てくる」とバンドマンならではの心境を語る。そしてハンドマイクで「SLEEPWALK」へ。ステップを踏んだりドラムのライザーに腰掛けたりしながら、難しい譜割りのこの曲を軽やかに歌いこなす。

 アニバーサリーライブということはもちろんだが、2月17日に現体制で初のアルバム『REAMP』のリリースを控えているというタイミングもあるのだろう、3人の生み出すグルーブはどこまでも濃密で、演奏のテンションは高い。いわゆるバンドとして完全に「仕上がっている」のが伝わってくる。なかでも目を見張ったのがシノダのボーカル。壮絶なシャウトから美しいハイトーンまで、曲の情景を何倍にも増幅させて伝えてくるその歌声には、いよいよボーカリストとしての個性を発揮し始めたような手応えを感じる。

 彼がボーカルをとる形で新たなスタートを切ったヒトリエだが、言うまでもなくそこには複雑な感情が渦巻いていたはずだ。だがこの日のライブで見るシノダは、まごうことなきフロントマンとしてのオーラを纏い、自信たっぷりにマイクを握っているように見えた。「RIVER FOG, CHOCOLATE BUTTERFLY」に「カラノワレモノ」など、ヒトリエがこれまで生み出してきたバラエティ豊かな楽曲たちが、新たな息吹を得て躍動する。タイトでエモーショナルな演奏に表情豊かな歌、そこにレーザーライトや映像エフェクトを駆使した配信ならではの演出も相まって、グッとアップデートされたヒトリエの今が立ち上がる。控えめにいっても「圧倒的」である。

シノダ
イガラシ
ゆーまお
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