『関ジャム』で話題のSuiseiNoboAz「3020」、バイラルチャート上位に “ジャンルと時代”を越えて響くドラマティックな1曲

 歌詞のハードボイルドな雰囲気やボーカルのフロウ、ループ感のあるサウンドどれをとってもヒップホップをリファレンスとしていることがわかる。特にヒリヒリするようなメッセージや切実なフロウは、THA BLUE HERBからの影響が大きいのではないだろうか。一方でエモーショナルなギターソロが展開される間奏部分ではSuiseiNoboAzのロックバンドとしてのDNAが露わになる。ギターのダイナミクスがドラマチックな起伏を作り上げることで、荒涼としたイメージにウェットさが加わり、楽曲の表情に変化が生まれる。

 このようにジャンルの枠にとらわれることのない本楽曲は、なにがヒップホップでなにがロックであるのかといった議論を超越した意義深い作品であると同時に、SuiseiNoboAzのとてつもないポテンシャルのほんの一部でもある。同名タイトルのアルバム『3020』を手にとっていただき、SuiseiNoboAzの圧倒的なスケールを余すところなく体験してほしい。

■Z11
1990年生まれ、東京/清澄白河在住の音楽ライター。
一般企業に勤務しながら執筆活動中。音楽だけにとどまらず映画、書籍、アートなどカルチャー全般についてTwitterで発信。ブリの照り焼きを作らせたら右に出る者はいない。
Twitter(@Z1169560137)

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