SUPER BEAVERはなぜここまでの躍進を遂げた? 挫折から得た“あなた”に向き合う姿勢
昨年、バンド結成20周年を迎えたSUPER BEAVER。アニバーサリーイヤーの集大成として、自身初のライブ&ドキュメンタリー映画『SUPER BEAVER LIVE & DOCUMENTARY -現在地-』が5月22日に公開されることが発表された。
映画は1年以上にわたる密着映像や、開催中のアリーナツアー『SUPER BEAVER 20th Anniversary「都会のラクダ TOUR 2026 〜ラクダトゥインクルー〜」』より神奈川・Kアリーナ横浜公演のライブ映像などで構成される。今年は8月、9月に初の2大ドームツアー『SUPER BEAVER「都会のラクダ DOME TOUR 2026」』も控える彼ら。大躍進を遂げるなかで、「有名になり、遠い存在へと変わってしまったのではないか」という声が聞かれたことが、本作品を制作するきっかけになったという。はたして、SUPER BEAVERは20年で変わったのか――。私たちはその問いを投げかけられるわけだ。
SUPER BEAVERが歩んだ20年の道のり
SUPER BEAVERは、高校の同級生であった渋谷龍太(Vo)と上杉研太(Ba)、彼らの一学年下の後輩である柳沢亮太(Gt)、柳沢の幼馴染である藤原"37才"広明(Dr)の4人で2005年に結成された。翌年に出場した10代が参加できる全国規模のアマチュアコンテストでは、見事グランプリとオーディエンス大賞を同時受賞。これをきっかけに、早々にメジャーデビューの話が進むことになる。2009年には、ソニー・ミュージックレーベルズ内のEPIC Records Japanよりメジャー1stシングル『深呼吸』をリリース。バンドは順風満帆に歩みを進めているように思えた。
しかし、SUPER BEAVERはわずか2年ほどでメジャーレーベルを離れることになる。のちのインタビューで彼らは当時を振り返り、「なんで自分たちが音楽をやっているのか、音楽の本質的な魅力みたいなものに、ちゃんと気づけていなかった」(渋谷)、「4人でやるようになってからは、作ってから出して、どう届くかっていうところまですべてメンバーの責任でやるんだって思うようになって」(柳沢)と語っている(※1)。もう一度自分たちの手で、心の底から楽しめる音楽をやるために、SUPER BEAVERは4人での再スタートを選んだのだ。自主レーベルを設立し、個々にアルバイトをしながら、楽曲制作や年間100本以上のライブを重ねる日々。地道な活動は少しずつ実を結び、応援してくれるファンも、彼らを近くで支えてくれる人も増えていった。そして2018年4月、結成14年目のインディーズバンドは初の日本武道館ワンマンライブを成功させた。
結成15周年を迎えた2020年、その少し前からソニー・ミュージックより再びラブコールを受けていた彼らは、メジャー再契約を果たす。翌年リリースの「名前を呼ぶよ」は映画『東京リベンジャーズ』(2021年)の主題歌に起用され、映画のヒットとともにSUPER BEAVERの名前を世に広く知らしめた。昨年は結成20周年を記念して初のスタジアム単独公演『SUPER BEAVER 20th Anniversary「都会のラクダSP at ZOZOマリンスタジアム」』を開催し、2日間で6万人を動員。さらに、『めざましテレビ』(フジテレビ系)2025年度テーマソング「主人公」や、直近では『ミラノ・コルティナ2026オリンピック』でのフジテレビ系2026 アスリート応援ソング「生きがい」など大きなタイアップも次々と務め上げ、今や彼らの楽曲は多くの人に届いている。
挫折が生んだSUPER BEAVERのスタンスと魅力
栄光からの挫折、奮闘の日々からの快進撃。決して容易いことではないだろう。SUPER BEAVERは器用なバンドではないが、人間味にあふれている。だからこそ、楽曲に描かれる迷いや葛藤に説得力がある。バンドの楽曲の多くは柳沢が作詞作曲を手掛けており、上杉、藤原も含めた骨太なロックサウンドに乗せて、渋谷が熱いボーカルを響かせる。真っ直ぐな言葉たちと力強い演奏に鼓舞された経験がある人は少なくないはずだ。
渋谷は2021年に出版した自伝的小説『都会のラクダ』(KADOKAWA)のなかで、「四人だけで音楽をやったから、四人だけでないことに気が付くことが出来た」と綴っている。今のSUPER BEAVERが成り立っているのは、一緒に歩んできた人たちがいるから。そう彼ら自身が強く意識しているのだろう。それを表すように、彼らの楽曲の中心には人がいて、曲を聴く一人ひとりの“あなた”に向けた響きがある。大切な人との繋がりが歌われた「名前を呼ぶよ」も、この世界に生きる誰もが脇役であり主人公だとする「主人公」も、今日まで自分を支えてくれた人への想いが込められた「生きがい」もそうだ。
そして、一人ひとりに曲を届けるというスタンスはライブでも変わらない。「“あなたたち”に歌ってるんじゃない、“あなた”に歌ってるんだ」という言葉を渋谷が繰り返し伝えてきたように、どんなに会場の規模が大きくなっても、彼らにとってライブは一対一の空間なのだ。直接的なパフォーマンスによって、オーディエンスの心は揺れる。常に目の前の“あなた”に向き合う姿勢こそ、SUPER BEAVERらしさを象徴する、揺るぎない魅力である。
積み重ねてきた日々を音楽として鳴らし続けてきたSUPER BEAVER。はたして、彼らは20年で変わったのか――。もちろん月日が経つなかで、変化した部分もあるかもしれない。けれど、バンドの本質は変わっていないように思う。20周年のアニバーサリーイヤーを締めくくった先にどのような景色が広がっているのか、楽しみだ。
※1:https://realsound.jp/2020/07/post-582239.html

























