『IDOL舞SHOW』インタビュー
アイドルから声優へ転身ーー花谷麻妃が語る、憧れの世界で直面した苦難と仲間の大切さ「声で世界中の人を笑顔にしていきたい」
「狭き門を通過することの難しさ」声優活動の行く手を阻む壁の数々
ーー声優としての道のりは想像以上に険しいものでしたか?
花谷:もちろんスムーズに進むとは思っていなかったですけど、「あ、こういう困難もあるのか」っていうことに直面することも多くて。例えば周りに自分と同年代の方があまりいなかったこともあって、年齢的な引け目を感じてしまうことがあったりとか。みなさんと同じ土俵に立てていない気がしてしまっていたんですよね。あとは、これまでにものすごい数のオーディションを受けてきましたけど、その狭き門を通過することの難しさをあらためて実感したところもありましたし。今もまだ模索しているところはありますけど、自分なりの表現を見つける難しさもありますよね。
ーーそれらの困難はどう乗り越えてきたんですか?
花谷:様々なコンテンツにかかわらせていただく中で、声優の先輩方を含め、いろんな方々にお会いして、たくさんのアドバイスをいただくことでひとつずつ乗り越えることができているんだと思います。今のX-UCもそうですけど、共に高め合い、支え合える仲間の存在が私に自信を持たせてくれたんですよね。仲間って大事だなってすごく思えました。あとはやっぱり大好きなアニメという存在が私を支えてくれました。何か落ち込んだことがあっても、アニメを観れば元気になれるし、同時に「こんな表現の仕方もあるんだな」っていう学びもそこにはあったりするので。それらひとつひとつが今の私に繋がる糧になっているような気がします。もちろんまだまだ勉強中ではあるんですけど、もしアニメも観ず、たった1人だけで頑張り続けていたら、ここまでの時間の中で心折れてしまっていたかもしれないですね。最近は“なるようになる”精神で、“ケセラセラ”を覚えたところです(笑)。
ーーでは、どんなときに声優の道に進んで良かったなと強く思えます?
花谷:たくさんのファンの方に応援していただけていることはまずひとつ大きな喜びですよね。あとは……ただの気持ち悪い人みたいになっちゃいますけど(笑)、子供の頃からずっと見ていたアニメの声優さんにお会いできたり、直接アドバイスをいただけたりしたときはもう、「あ、生きてて良かったな。これからも頑張ろう」って思います。
ーーちなみに幼い頃から憧れている声優さんと言うと?
花谷:上坂すみれさんと洲崎綾さんと竹達彩奈さんと悠木碧さんと水瀬いのりさんと佐倉綾音さんです。みなさん、めちゃくちゃ好きなんですよ。まだお会いしたことのない方もいらっしゃいますけど、洲崎綾さんにはお会いしたことがあって。“花ちゃん”っていうあだ名をつけていただいたんですよね。憧れの方にあだ名をつけていただけるなんて、この上ない幸せじゃないですか。私はその幸せを日々、噛み締めながら生きています(笑)。
ーーそして2019年からは『IDOL舞SHOW』という大きなプロジェクトにかかわることになります。花谷さんは10人組のグループ、X-UCのメンバー、猿野さくらを演じていますね。このお話をもらったときはどんなお気持ちでしたか?
花谷:『IDOL舞SHOW』というタイトルなので、「アイドルするのかな?」って漠然と想像してはいたんですけど、当初は共演するメンバーの方々も全員は知らされていなかったからまったくわからないことだらけで(笑)。そこから「10人組です」「あなたは眼鏡のキャラです」みたいな感じで、徐々に全貌が見えていくのがすごく楽しくて。これはメンバーも含め、みんなが一緒に成長していけるコンテンツなんだなってすごく思いました。
「X-UCのメンバーは私の壁を壊してくれた」
ーー時を経て、再びアイドルグループをやることに関してはどう思いました?花谷:経験として、アイドルは人を笑顔にする仕事だっていう明確な思いがあったんですよ。で、私が声優を極めたいと思ったのも、人を笑顔にしたい気持ちからだった。そこには笑顔という共通点があったので、とにかく全力で頑張りたいなって思いましたね。
ーー先ほど、支え合える仲間の大切さのお話をされていましたから、10人での活動も有意義なものになっていそうですよね。
花谷:ほんとにそうだと思います。1人で活動しているとわからない、お互いに支え合う空気感は常に感じていますね。自分が知らなかった自分のことを、いろんな視点から気づかせてもらえるんです。X-UCは全員の個性が本当にバラバラなんですけど、根底には支え合う気持ちが存在しているので、本当にいいグループだなって思いますね。
ーーそういった関係になるまでに時間はかからなかったですか?
花谷:それほど時間はかからなかったと思います。みんなすごくフレンドリーなので。実は私、X-UCに入る前はものすごい人見知りだったんですよ。アイドル時代からしゃべることがすごく苦手で、そこに対して自信がまったくなかったんです。でもX-UCのメンバーは年齢も近いし、私の人見知りという壁をどんどん壊してくれるんですよ。それによって私もリハビリができたというか(笑)、普通に話すことができるようになったんですよね。X-UCに参加する前と後では、私のイメージは全然違うものになったと思いますね。前はほんとに一言もしゃべらないみたいな感じだったので(笑)。そういった部分も含め、『IDOL舞SHOW』にかかわらせていただけたことで自分はすごく成長できていると思います。
ーープロジェクト始動後すぐ、昨年10月には初ライブも開催されました。
花谷:かなり早い段階でのライブだったんですけど、そこまでに仲の良さも深まっていたので、まとまったパフォーマンスができたかなと思います。
ーーライブでパフォーマンスする上で、過去のアイドルの経験が生きたりすることも?
花谷:どうだろうなぁ。X-UCは10人もいるので、複雑なフォーメーションがあったりするんですよ。そういう部分は初めての経験だったので、難しさはすごくありました。ただ、ダンスに関しては未経験ではないから、スッと振り入れをすることができたりっていうことはあったとは思います。ある意味、ダンスの基盤を作ってくれた過去の経験には感謝ですね。すごくありがたいです。
ーーその経験を生かして、グループをダンス面で引っ張っていったり、みたいなことはないんですか?
花谷:私がですか? いやいや、もう全然ですよ。というより、X-UCには引っ張ろうとするリーダーっぽい人がいないんですよ(笑)。それぞれが同じ場所に立って、みんなで上へ上へと目指していくスタイルというか。
ーーへぇ。それはそれでグループとしていい形ではありますよね。
花谷:うん、そうだと思います。あ、でも、まとめる力のある先輩の豊田萌絵さんがいることで全員の気持ちが引き締まったりする感じはありますね。それも「私が引っ張るぞ!」っていう感じではないんですけど、いろんな場面でみんなをちょっとずつ軌道修正してくださるというか。客観的に見て、いろいろアドバイスしてくださったりはしますね。