小野島大が選ぶ、2020年洋楽年間ベスト10 テイラー・スウィフト、フィオナ・アップルら今年を象徴する作品も

フィオナ・アップル
フィオナ・アップル『Fetch the Bolt Cutters』

 もう1枚挙げるならフィオナ・アップルの新作だ。リリースは4月なのでコロナには関係ないが、今年もっとも驚かされた作品だった。すべて彼女の自宅でレコーディングされた内容は手作り感溢れるものだが、実際にはそんな素朴なものではなく、彼女の恐るべき才気が迸る、とんでもなくカッティングエッジでぶっ飛んだ内容で、彼女の奔放でアーティスティックでなにものにもとらわれない感性がそのまま結晶化したような、恐ろしく自由でありながら突き抜けた作品に。正直な話、フィオナ・アップルのアルバムで初めて心底すごいと思ったのだった。

 洋楽全般から選出するようにとの依頼だったのでこのような結果になったが、当然漏れている作品で優れたものはいくつもある。Klein、Tame Impala、The Weeknd、Autechre(2作リリースされたが両方)、Grimes、Arca、Jaga Jazzistなどが惜しくも選外となった。また、洋邦ジャンルを問わず新譜全般を対象としたベスト10は『ミュージック・マガジン』2021年1月号に寄稿しているので、そちらもご覧ください。

■小野島大
音楽評論家。 『ミュージック・マガジン』『ロッキング・オン』『ロッキング・オン・ジャパン』『MUSICA』『ナタリー』『週刊SPA』『CDジャーナル』などに執筆。Real Soundにて新譜キュレーション記事を連載中。facebookTwitter

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