Upsammy、Chari Chari、Francois K.……小野島大が選ぶエレクトロニックな新譜10選

 2カ月のご無沙汰でした。一向に収まる気配のないコロナ禍ですが、音楽家たちの旺盛な創作意欲は衰えることを知りません。今回もエレクトロニックな新譜からご紹介しましょう。

Upsammy『Zoom』

 アムステルダム拠点の女性DJ/プロデューサー、アップサミー(Upsammy)ことThessa Torsingの、フルアルバムとしては1作目となる『Zoom』(Dekmantel Records)。2018年ごろから急激に頭角を現してきたアーティストですが、キュートでポップで軽やかながら、ピリリと舌先が痺れるような繊細かつ刺激的なダブ〜エレクトロニカを展開。アコースティックとエレクトロニックが絶妙なバランスで交錯し、リズムアレンジも秀逸。一瞬もその場にとどまることなく、くるくると表情が変わっていくような才気煥発な作品です。一度耳にしたら忘れられないような個性があり、今後要注目の才能でしょう。今後いろんなリミックスワークなどを手がければ、たちまちポピュラーな存在となりそうです。

upsammy – Extra Warm (Official Video)
upsammy – It Drips (Official Video)

Luciano『Luci Neu House』

 チリのミニマルテクノの帝王ルチアーノ(Luciano)が日本の名門レーベル<Mule Musiq>からアルバムをリリース。『Luci Neu House』はバイナル2枚組にわたって展開される催眠的なミニマルダブ〜アンビエントハウスです。ストリーミングサービスでは、4つのパートがシームレスに繋がった1時間以上もの大作に。エクスペリメンタルで挑戦的でありながら、インナースペースを漂うような内省的かつ叙情的な楽曲は、ふと胸元にたぐり寄せられるような「引きの魅力」に溢れています。

 そして間髪を置かず、同じく<Mule Musiq>から12インチシングル『The Evasion Of The Spiritual Soldier』もリリースされています。『Luci Neu House』の作風をさらに発展させたような作品で、シンプルでミニマルなピアノの響きを、ネオクラシカルな雰囲気の美しいスローで幽玄なアンビエントハウスに仕立てた表題曲が素晴らしい出来です。

 また、コロナの外出自粛期間中には自身のYouTubeチャンネルから、自宅でのDJ動画「Luciano Living Room Session」をこまめにアップしており、その数なんと43本。そちらもぜひ。

Pedro Vian『Ibillorca』

 スペインはバルセロナ出身、現在はアムステルダムを拠点に活動を続けるペドロ・ヴィアン(Pedro Vian)が、自身の主宰する<Modern Obscure Music>からアルバム『Ibillorca』をリリース。オーガニックでスローなアンビエント〜ニューエイジから、ジャズ、ネオクラシカル、ドラムンベース、エレクトロニカを横断するハイブリッドなサウンドで、地中海の陽光を浴びてゆらゆらと立ち上がる陽炎のような美しいサウンドはとても魅力的です。

Exos『Indigo』

 北欧のダブテクノシーンの顔役、アイスランドのエクソス(Exos)ことArnvidur Snorrasonの新作『Indigo』が、レン・ファキのレーベル<Figure>からリリース。なんと20年ぶりのオリジナルアルバムです。骨太で強靱なグルーヴと、サイケデリックでダビーな上モノが絶妙に溶け合ったストイックでディープなミニマルテクノが圧倒的に素晴らしい。

Exos – Indigo [FIGURELP05]

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