嵐とブルーノ・マーズ、国境を超えた夢のコラボはなぜ実現したのかーー寄り添うことで共鳴した、2組による配信番組を観て

ブルーノ・マーズ「嵐をプロデュース出来て光栄」

 「Whenever You Call」が完成し出来上がった経緯について、「どんなことをイメージして曲を作ったの?」と松本がブルーノに質問すると「もし俺たちが嵐の活動休止を知ってライブを観に行ったら、こんな曲を聞きたいなと思うものを作った」と、正直な心境を語る。いつのどの時代に聴いても響く普遍的な曲、世の中がこういう時代だからこそ、曲を聴いて少しでも心が明るくなり、一筋の光が射すような曲を、という嵐からのリクエストに応えたブルーノ。そんな要望を伝えてはいたが、実際彼から届いたのは意外にもミディアムバラードであった。

 ある程度要望もしていたのに、なぜブルーノは嵐にミディアムバラードを書き下ろしたのか。番組内ではこの理由について「嵐の動画を見て、楽曲にはアップテンポなものがたくさんあったけど、今回は違う楽曲を贈りたいと思った」とブルーノは答えている。あくまで嵐自身でも熱狂的なファンでもない、いちクリエイターとしての判断のもと湧き上がってきた楽曲がミディアムバラードであったのだ。真のコラボレーションとは、単に互いの要望を叶えるだけではないことを、このやり取りから感じた。

 「Whenever You Call」の制作は、プロデューサーとしても共同参加したD'Mileがコードを弾き始め、ドラムを重ね、ブルーノがギターを弾いて行なわれたという。ブルーノは仕上がりについて「嵐の声でこの曲が戻ってきたときはもっと感動した」と告白し、D'Mileは「嵐のみんなは上手くハーモニーを重ねていて相乗効果が出ていた」と双方が絶賛。嵐5人のこだわりと、そんな嵐のために書かれたブルーノの楽曲は、まさにこの瞬間「嵐の曲」として完成したのだ。

ARASHI - Whenever You Call [Dance version]

 対談の最後、ブルーノは「嵐の歌声はとても良かった。プロデュースできて光栄だよ」と5人に向けて最高の賛辞を贈る。世界最高峰のアーティストにかけられた最高の言葉を前に、5人も終始舞い上がっていたように見えた。

美しいコーラスで届けられる歌詞「Promise」に込められた想いとは

 「Whenever You Call」というタイトルには「君が必要な時には、いつでも駆けつけるよ」という意味合いが込められている。1番のAメロで「たとえ遠く離れていたとしても、僕は君を闇から連れ出す光であり続ける」、Bメロには「時間も場所も関係ない僕たちを邪魔するものは何もない」と語られ、強い繋がりや絆を感じることができる楽曲だ。続くサビでは「君が必要な時には、いつでも駆けつけるよ。君への愛は変わらないんだ」と嵐とファンの関係性を象徴するかのようなメッセージが込められている。歌詞にある「Promise=約束」という言葉からも、ファンが求める時には必ず僕らはそばにいるよ、という嵐との“約束”を受け取ることができるのだ。

 サブスクやデジタル配信も開始し、活動休止後もファンはいつでも嵐の音楽やパフォーマンスに触れることができる。これからも、辛い時や悲しい思いをした時、嬉しい時、どんな時も嵐が楽曲やパフォーマンスを通じてファンに寄り添っていてくれるはずだ。ファンが嵐を想う時、きっと嵐もあなたの側にいてくれるはずだ。

■北村由起
ライター・エディター。出版社勤務、情報誌編集長を経てフリーに。情報誌、webマガジン、ムック等を中心に執筆。ジャニーズウオッチャー。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる