嵐のカップリング曲は、5人とファンをつなぐ大切な懸け橋だーー思い出に刻み込まれた、心に響くメッセージに耳を傾けて
『アラフェス2020 at 国立競技場』で改めて感じた、嵐のカップリング曲の尊さ。ライブ以外で披露することは少なくとも、それらの曲なしでは嵐の歴史を語ることは決してできない。今回は、嵐のカップリング曲の中から厳選した3曲をピックアップし、改めてそれら楽曲の魅力やエピソードを振り返る。
まず1曲目は「Still…」。もはやカップリング人気投票で1位を獲得するのが当たり前となった曲。魅力はなんと言っても、その心にしみる歌詞だろう。筆者が最もグッとくるのは〈抱えた物の多さに潰れそうなその時には思い出して ずっと繋いできた その手は嘘じゃないから〉の部分だ。自分にしか分からない不安や葛藤、苦しみにそっと寄り添ってくれるかのような優しい歌詞。5人が「僕らがいることを忘れないでね」と言ってくれているかのような温かさ。切なくも明るいメロディラインに沿って歌いあげられるその歌詞は、くじけそうな時でも不思議と前向きになれる。
続いて2曲目は「ファイトソング」。嵐が『Gの嵐!』(日本テレビ系)という深夜番組をやっていた頃、同番組の公式応援歌として5人で作り上げた曲だ。〈人は人 自分は自分 比べた時点で負けてる〉〈時には泣いていいよ 弱いとこ見せても大丈夫 でもそこで腐るな! まだやれる その先の夢(さき)〉こういった歌詞の一つひとつをみればありきたりな言葉かもしれない。だが、嵐5人の気持ちがこもった曲、5人が与えてくれた言葉だと捉えると、歌詞がストレートに心にしみるのだ。筆者は特に学生時代、毎日のようにこの曲を聴いていた。勉強漬けの日々でつらかったとき、部活を辞めたくなったとき、何もかもが上手くいかなかったとき。苦しいときは何度も何度もこの曲を聴き、励まされた。〈「頑張れ!!」〉という簡単な言葉が、こんなにも心に響く曲を他に知らない。
そして3曲目は「season」。約11年前の2009年に、au by KDDI『もし僕らが、嵐でなかったら。』のCMソングだった曲だ。CMが流れるたびに幸せを感じていたことから、朝のテレビから嵐の声が聞こえただけで毎日スッと起きられていたような思い出まで、まるで一本の糸をたぐるように記憶が蘇る。これを読んでいるあなたは、今どんな記憶を思い出しているだろうか。素敵な曲と思い出がセットであることが、こんなにも幸せであることを私は今まで知らなかった。そしてこの曲の歌詞において〈旅立ちを決めた思いは 今 誰のためでもなくて〉〈変わりゆく僕の 変わることない思いを〉の部分は、まさに今変化しようとしている嵐そのものと重ねることで、さらに想いがこみ上げってくる。まさに〈涙零れそうなとき 君の事を 思い出す〉関係になれていたらいいなと信じてやまない。これまで嵐がファンのことを思い続けてくれていたように、休止期間は私たちが嵐を思い、待ち続けなくてはという使命感も生まれてくる。