BTS『BE』、JO1『The STAR』が1位&2位で絶好調 新時代を象徴するボーイズグループ2組、チャートを席巻する意義

 住んでいる人はなおのことですが、アメリカへ旅行に行けば、白人でも黒人でもない我々アジア系はマイノリティの立場を自覚せずにはいられません。ざっくり「チャイニーズ?」と聞かれたりするのは日本人も韓国人も同様で、中国語と韓国語と日本語がそれぞれ違うのだということも、あまり知られず興味も持ってもらえない。それが当たり前だったアメリカ社会が、BTSを筆頭とするK-POPにより変わりつつある。これって1週ごとのチャートの話ではなく、世界的にも意義のある話として、もっと語られるべきものでしょう。“大きな標準=英語”に合わせるのではなく、ローカルの言葉でヒット曲を作る。そこにこだわる姿勢もBTSを大いに魅力的に見せています。多様性とか、世界平和とか、そんな大きな話と音楽はもちろん地続きにあるのですから。

JO1『The STAR』

 ちょっと話が大きくなっている......? いや、日韓の政治的衝突がたびたびニュースになる今だからこそ大事なこと。2位のJO1『The STAR』、1stアルバムが15.8万枚のセールスというのも希望のある話で、オーディション番組から飛び出した11人が、一瞬にして人気者の仲間入りを果たした証です。

 ファッションやメイクの感じはK-POPに近く、重低音と高音域がバキッと分かれたダイナミックなEDMサウンドが楽しめます。日本の男性グループの歴史、ジャニーズやLDHにも当てはまらない新しい存在は、BTSのように世界に打って出ていくグループに成長できるでしょうか。優等生の王子様キャラとは少し違う、〈僕〉より〈俺〉が、〈君のそばに〉ではなく〈ついて来いよ〉(「KungChiKiTa」)が似合う歌詞もなかなか頼もしい。まだデビューから1年も経っていないので、今後に要注目です。

■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。

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