imdkmのチャート一刀両断!
LiSA『鬼滅の刃』主題歌含めたアルバム&シングルでチャート首位独占 深みあるエレクトロで開拓した新機軸
参考:2020年10月26日付週間アルバムランキング(2020年10月12日~2020年10月18日)
10月26日付のオリコン週間アルバムランキングで首位を獲得したのはLiSA『LEO-NiNE』で推定売上枚数は66,079枚。2017年リリースの前作は2.9万枚程度だったことと比較すれば、2倍ほどの売上を記録している。続いて、多くの派生ユニットを抱える人気K-POPユニット・NCTのアルバム『Resonance Pt.1:2nd Album』が49,523枚を売り上げて2位。そして躍進とどまることのないBTSの初期作品のリイシューとなる『Skool Luv Affair:BTS 2nd Mini Album(Special Addition)』が37,689枚を売り上げて3位となった。ほか、初登場としては5位 和楽器バンド『TOKYO SINGING』(20,228枚)、7位 氷川きよし『生々流転』(14,824枚)、8位 DREAMS COME TRUE『DOSCO prime』(12,018枚)、10位 S+AKS & ドスコDJ ALL STARS『DREAM CATCHER 3 ~ ドリカムディスコ MIX COMPILATION』(6,424枚)がランクインした。
さて、今回ピックアップするのは首位のLiSA『LEO-NiNE』。いまや社会現象級の人気を誇るアニメ『鬼滅の刃』主題歌の「紅蓮華」を収録し、キャリア最高の売上を記録した一作だ。加えて、週間シングルランキングでも『炎』が67,530枚を売り上げて首位を獲得し、シングル・アルバム双方を制覇。ラウドなサウンドと迫力あるボーカルをトレードマークに、圧倒的な存在感を放っている。2010年のメジャーデビュー以来、アニメタイアップなどを数多くこなしアニソン界でも屈指の人気を示してきたLiSAのさらなる飛躍だ。
LiSAが得意とするメロディアスでラウドなロックサウンドは、アニソンやメディアミックスプロジェクトでは非常に好まれており、たとえば本連載で最近取り上げたRAISE A SUILENなどもその範疇にある(参考:RAISE A SUILEN、1stアルバム『ERA』チャート健勝 ライブで体感したいエネルギッシュなアレンジの作品に)。アップテンポでアツいメロディが好まれる傾向は、アニソンシーンにもフェスやライブを楽しむ習慣が根付いたことによって、いっそう盤石になった。近年はD4DJや電音部などアニクラ(アニソン中心のクラブイベント)の流れも手伝ってか、クラブカルチャーの文脈を意識的に取り入れるコンテンツや、あるいは『ヒプノシスマイク』のようにヒップホップへとアプローチするコンテンツも登場してきたことで、ジャンルの幅は広がりを見せている。が、やはりロックはいまだ強い。
そんななかで、「紅蓮華」から本作『LEO-NiNE』および『炎』のヒットで、LiSAはラウドなアニソンの顔としてお茶の間にも確固たる地位を築いたと言えよう。2019年末の『NHK紅白歌合戦』にも出場を果たし、民放の歌番組や歌謡祭でパフォーマンスを目にする頻度も上がったように思う。