Metallica、Marilyn Manson、Napalm Death……HR/HMの大御所からグラインドコアの重鎮まで この秋聴くべき注目作9選

 今回の新譜キュレーションでは今年8月下旬から10月にかけてリリースされた、HR/HMおよびエクストリームミュージック周辺の注目作品9タイトルを紹介していきます。大御所バンドによるオーケストラとの共演作を筆頭に、注目エクストリームバンドのアンプラグド作品、人気バンドのフロントマン初ソロ作、さらにはグラインドコア界の重鎮や気鋭バンドの新作など、ひとつでも引っかかるものがあることを願っています。

Metallica『S&M2』

メタリカ
Metallica『S&M2』

 Metallicaが2019年9月に行なった、サンフランシスコ交響楽団との共演ライブの模様を完全収録したライブアルバム(およびライブ映像作品)。彼らは1999年秋にオーケストラ共演ライブ作品『S&M』を発表していますが、今回は20年前を再現するという懐古主義ではなく、あくまで新しいものを作り出すという気概が感じられる内容に仕上がっています。驚かされるのは、Metallicaがオーケストラ側に歩み寄った演奏をしていること。唯我独尊のMetallicaが協調性を持った大人になっていることにもびっくりですが、さらに驚愕なのがその内容。とってつけたような「オーケストラとのコラボ」ではなく、「Metallicaとサンフランシスコ交響楽団が対等な立場でコラボ」しているのです。自然なアレンジや演奏含め20年前との大きな違いが感じられる、聴き応えのある作品集だと断言できます。

Metallica & San Francisco Symphony: Moth Into Flame (Live)

Marilyn Manson『WE ARE CHAOS』

Marilyn Manson
Marilyn Manson『WE ARE CHAOS』

 Marilyn Manson通算11枚目のオリジナルアルバムは、新たなコラボレーターとしてカントリーやサザンロック畑のシューター・ジェニングスを迎えて制作された意欲作で、今回マリリン・マンソン(Vo)が狙った方向性は“ブライアン・イーノとのベルリン三部作の頃のデヴィッド・ボウイ”。ですが、実験的要素は希薄で、シンプルなアンサンブルでマンソンの歌を聴かせる、全キャリア中もっともポップな内容に仕上がっています。従来のおどろおどろしさやヘヴィな音像も随所に残されていますが、それよりも耳に残るのが「WE ARE CHAOS」や「BROKEN NEEDLE」といった“わかりやすい”楽曲群。往年の派手さは皆無ながらも、ボディブローのようにじわじわ効いてくるスタイルからは、全盛期の名盤『Mechanical Animals』(1998年)との共通点も見つけられるはずです。

Marilyn Manson – DON’T CHASE THE DEAD (Official Video)

Corey Taylor『CMFT』

Corey Taylor
Corey Taylor『CMFT』

 SlipknotやSTONE SOURのフロントマンとして20年以上にわたり第一線で活躍するコリィ・テイラーが初のソロアルバムを制作。彼のルーツである80〜90年代のハードロックやグランジをベースにした、両バンドとは異なるテイストの楽曲群は非常に新鮮なものがあります。80’sヘアメタル的なキャッチーさを伴った「Samantha’s Gone」やグランジ的な質感の「Everybody Dies On My Birthday」、ピアノバラード「Home」、ラップメタル調の「CMFT Must Be Stopped」、単尺のハードコアパンク「European Tour Bus Bathroom Song」など、コリィが歌っている時点でSTONE SOURとの共通点はいくらでも見つけられますが、楽曲におけるバラエティの豊かさは過去随一。SlipknotやSTONE SOURという限定された枠では表現しきれない、コリィの多彩さが表出した良作と言えるでしょう。

Corey Taylor – Black Eyes Blue [OFFICIAL VIDEO]

Deftones『Ohms』

Deftones
Deftones『Ohms』

 Deftoneは4年ぶり、通算9枚目のスタジオアルバムを9月下旬にリリースしたばかり。本作では初期の名盤を多数手がけたテリー・デイトをプロデューサーに迎え、超初期のヒリヒリ感とプログレ/ポストロックに歩み寄った中〜後期のディープさが絶妙なバランスでミックスされた、まさに最高傑作と呼ぶにふさわしい1枚に仕上がっています。チノ・モレノ(Vo)はエロスを感じさせる歌声を響かせるだけでなく、時には初期のようなシャウトやスクリームも取り入れており、その独自性はどこかPink Floydにも通ずるものが見え隠れします。ある意味では集大成的内容ですが、きっと数年後にはこれさえも軽く飛び越えた新作を届けてくれるんじゃないかと、気が早い話ですが今からワクワクしています(笑)。

Deftones – Ohms (Official Music Video)

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