トラックメイカーユニット ODOLAが語る、“楽曲の区画を崩した”音作りへの意識　影響を受けたアーティストも明かす

文・取材＝渡辺裕也、写真＝堀内彩香

「Metamorphose feat. Kuro」は、彼女と別れた体験談がモチーフに

ーー今作の日常と非日常が滲み合うような感覚は「Rough Song #3」の歌詞にも読み取れました。ちなみにこの「feat. nmzw」って沼澤さんのことですよね？

沼澤：そうですね（笑）。なんか恥ずかしいのでそういう表記にしたんですけど。「Rough Song」はこのアルバムのなかでもいちばん古い曲で、元々はお蔵入りになりかけていたんですけど、たしかにそう言われてみると、このアルバムでやろうとしたことにつながる歌詞だったのかも。じつはこれ、僕が初めて歌詞を書いた曲でもあるんですけど。

Pam：僕は絶対に入れたほうがいいと思ってたんですけど、沼澤は自分の歌があまり好きじゃないから嫌がってたんだよね（笑）。今回はそれを無理やり説得して、なんとか収録できたんです。

ーー今作には何名かのゲストボーカルも参加されています。それぞれ共演に至った経緯を教えていただけますか？

Pam：城戸あき子さんに参加していただいた「Bathtime」は、元々は沼澤にコーラスをやってもらうつもりだった曲で。そうなると声のバランス的にソプラノ寄りの方にお願いできたらなと。そこで思い当たったのが城戸さんだったんです。僕はCICADAも大好きだったので、ここはぜひ歌っていただけないかなと。

ODOLA "Bathtime feat. 城戸あき子" [OFFICIAL MUSIC VIDEO]

沼澤：歌詞に関しては、なにかリラックスできる時間、自分らしくいられる時間について書いてくださいとだけお伝えして。そうしたらお風呂についての歌詞が返ってきました（笑）。僕もCICADAはもちろん、個人的には城戸さんがボーカルを担当した冨田ラボさんの「鼓動」という曲が本当に大好きだったので、今回こうして歌っていただけたのは本当に嬉しかったですね。

ーーTAMTAMのKuroさんが歌う「Metamorphose」は、ちょっと辛辣な別れの歌ですね。

沼澤：この歌詞は……じつは当時の僕は付き合ってた人と別れたばかりで、そんな話を打ち合わせでなんとなくKuroさんにしたら、後日それが歌詞になってたんです（笑）。今回のアルバムでは昨年発売された7inchのB面としてリリースされていた、TOSHIKI HAYASHI(%C)さんのRemixバージョンが収録されています。原曲とはまた違った雰囲気を楽しんでもらいたいです。

ーーなるほど、この歌詞は沼澤さんの体験談がモチーフなんですね。

沼澤：もちろん多少は脚色されてますけどね……歌詞が届いた時は「マジか」と思いました（笑）

ーーCHIYORIさんとLIBROさんをフィーチャーした「Every」のリリックには、コロナ以降の状況が反映されているようにも感じました。

沼澤：まさにこれはコロナ禍の、全く先行きの見えないような時期にできた曲で。お二人ともひたすらリモートでやりとりして、仮歌をもらったあとにようやく直接会って、すぐレコーディングっていう感じだんたんですけど、このタイミングだからこそ、今お二人が感じていることをしっかり曲に込められたらなと。実際、この曲が入ってくれたおかげでアルバムがうまく締まりました。

ーー今作には他にも何名かのゲストプレイヤーが参加されていて。プログラミングを軸としつつ、じつはかなりバンド感のある作品だと思いました。

Pam：そうですね。というか、11月にODOLAは配信ライブをやるんですけど、それはバンドセットでやる予定なんです。

ーーそれはどのような編成で？

沼澤：思い出野郎Aチームの長岡智顕さんがベース、東郷清丸バンドとかに参加しているkauai hirótomo（カワイヒロトモ）さんがドラムの4人編成です。音源もこの4人で作っていけたらなって。というのも、おっしゃるように、いざ音源が完成してみると、いわゆる打ち込みっぽい音楽にはならなかったんですよね。ちょっとゴツゴツした感覚というか、身体性みたいなものが音像に自然と出てきたなって。このアルバムを作っている一方で僕らもそれぞれ演奏家として活動する場があったので、多分その影響もあったと思います。これはもうODOLAもバンドとしてやったほうがいいなじゃないかなって。

Pam：うん。サウンド的にも打ち込みだけじゃなくて、もっと肉体的なものをここからは目指していきたいんですよね。

ーーそれは面白いですね。いわゆるバンド的なセッションとは別のところでスタートしたODOLAが、1stアルバムを経た今はバンドスタイルに向かっていると。

沼澤：そうなんですよね。お互いに「もうバンドはやりたくない」とか言ってたはずが、今はまたODOLAでバンドやろうと考えてるっていう（笑）。なんだかんだ僕らはプレイヤー志向なんだと思います。

■リリース情報
『Grooovin' Blue』
10月14日（水）
FORMAT : CD（歌詞カード付属）/DIGITAL
￥2,000（+税）（CD）
＜収録曲＞
1.Intro
2.Bathtime feat. 城戸あき子
3.Night & Day
4.Purple
5.Rough Song #3 feat. nmzw
6.Interlude
7.LibertyCity
8.Every feat. CHIYORI & LIBRO
9.Moment of Days
10.Metamorphose feat. Kuro(TAMTAM) -TOSHIKI HAYASHI(%C) Remix-
11.Bathtime (Instrumental)
12.Every (Instrumental)