SWAY、新曲「TALK」に込めた現代を生きるためのメッセージ 優しく滑らかなフロウで歌った“繋がりの大切さ”

 さて、ここからはそのシンプルな構成と滑らかなフロウにより、いっそう輪郭が際立っているリリックに注目していきたい。まず1番の〈突然の雨 傘さして 水たまり ずぶ濡れになって〉というフレーズには、誰もが突然の雨に打たれ、変化を余儀なくされている現状を連想せずにはいられない。またその現状において自分の進むべき道を見失ってしまいそうな人々へ、この曲は〈歩き疲れたら止まって 今日は一歩でもいい〉〈きっと見つかるよ 一緒に見つけよう〉と肩を抱き、寄り添い諭すように歌いかけている。

 サビの〈歩くようにTALK...〉という重要なフレーズは、自分以外の誰かとともに言葉を交わし気持ちを分かち合い、支え合いながら一緒に歩いていく様子を想像させる。他者と支え合おう、ということは決して甘えた答えではない。何故なら、そのようにして支え合いながらも、結局は誰もがそれぞれの道を歩いていくしかないからだ。曲中の〈誰より遠くあえて決めないのさゴール〉〈まだなに一つ努力したことなんてない/行きたい場所は地図にも載ってない〉など端々で表される強い意志が、そのことを悟らせている。

 例えば、疲れている時や落ち込んでいる時、不意に耳に入ってきた歌に思いがけず心が救われた。音楽に親しんできた人間なら、誰しもそんな経験があるのではないだろうか。また、そうでなくとも日々の中でどうしても消化しきれない感情に囚われそうになった時、そこから抜け出す重要な手がかりとなるのはやはり他者との何がしかの“繋がり”であることが常だ。

 「TALK」という楽曲は、そんな人と人との“繋がり”をじっくりと見つめ直させる力を持っている。めまぐるしく変遷していく日常に疲れた時、誰か親しい人へ何気なく話しかけるように、この「TALK」の優しいビートに乗ってみてほしい。ひとときの雨宿りを楽しく、穏やかに過ごせるかもしれない。

■日高 愛
1989年生まれの会社員。『HIGH&LOW』をきっかけに大ファンとなったTHE RAMPAGEを中心に、LDH所属アーティストについて研究中。
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