欅坂46、快進撃を生んだ楽曲の数々ーー「サイマジョ」から「誰がその鐘を鳴らすのか?」までシングル曲を全解説
「黒い羊」
2019年唯一のCDシングル。それまで「エキセントリック」や「避雷針」といった“欅坂ならでは”のカップリング曲で支持を得ていたナスカがはじめて表題曲に楽曲を提供している。群れの中で悪目立ちする羊=“黒い羊”をテーマに、歌詞からMVに至るまで作風は唯一無二の世界観。メッセージ性、音楽性ともに独自路線を歩んでいた彼女たちが、8作目にしてついに打ち立てた到達点である。結果的に平手はこのシングルを最後にグループを脱退。〈僕だけがいなくなればいいんだ〉と歌うサビのフレーズがなんとも意味深い。
「誰がその鐘を鳴らすのか?」
位置付けとしては配信限定シングル(「角を曲がる」に次ぐ2作目)で、今年の夏に発表された改名前のラストの一曲。〈自分の話じゃなく 他人の話 聴いてみて欲しい〉、〈際限のない自己主張は ただのノイズでしかない〉など、それまでの歌詞の傾向とは打って変わって聴き手に冷静さをうながすメッセージが特徴。“平手脱退”以降の同グループのセンターに立つのは誰かという命題に則り、センターポジションがいない作りのダンスを見せている。
■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
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