結成20周年迎えたorange pekoe、ジャズや南米音楽をベースに表現する奥深い音楽性 ビルボードライブ東京に続き大阪での公演も

orange pekoeの奥深い音楽性

 orange pekoeとしての活動を再開させたのは、20周年のタイミングを迎えた2019年。8月にはブルーノート東京で1stアルバム『Organic Plastic Music』をフィーチャーしたスペシャルライブを開催。映画『ダンスウィズミー』(監督/矢口史靖)に代表曲「Happy Valley」が起用されたことも記憶に新しい。そして今回のビルボードライブ東京公演でもorange pekoeは、その奥深い音楽性を表現してみせた。

 セットリストはアナログでリリースされた『SUN & MOON』の楽曲で構成。「Honeysuckle」「空に架かるcircle」「太陽のかけら」「ホットミルク」「やわらかな夜」といった初期の楽曲をオーソドックスなジャズサウンドとともに演奏し、観客を魅了した。約20年前に制作された楽曲が中心だが、そのオーセンティックな魅力はまったく色褪せることがない。ポップスをジャズ風にアレンジしたのではなく、ジャズに対する深い造詣と敬意がしっかりと込められたorange pekoeの楽曲とサウンドには、時間や流行に左右されない魅力が備わっている。藤本はステージで「久しぶりに演奏した曲もあったけど、いろいろな発見がありました」と語っていたが、初期の楽曲に向き合うことは、2人にとっても大きな気づきにつながったようだ。

 林正樹(Pf)、西嶋徹(Ba)、斉藤良(Dr)の演奏も素晴らしかったが、軸になっていたのはもちろん、ナガシマの歌と藤本のギター。豊かな中低域、大らかな高音を持ち合わせ、楽曲に込められたメッセージーー自分自身を解放することの大切さ、そして、人を愛することの美しさ、切なさーーをゆったりと放つナガシマのボーカル。ジャズ、南米音楽をベースに、即興的な閃きを存分に描き出す藤本のギター。すべてのフレーズに音楽的なバックグラウンドが感じられる二人の演奏は、20数年のキャリアのなかで、確実に成長し、深みを増してきた。そのことを改めて実感できる充実のステージだった。

 8月23日にはビルボードライブ大阪での公演も予定されているorange pekoe。ナガシマトモコ、藤本一馬のポップネスがもっとも発揮されるorange pekoeの音楽は、多くのリスナーに再発見されていくことだろう。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

■公演情報
『Best Album「SUN & MOON」Vinyl Release Live with OPs』
日時:8月23日(日)
会場:Billboard Live Osaka
1st Stage:Open 15:30/Start 16:30
2nd Stage Open 18:30/Start 19:30
価格:
Service Area:6,900円/Casual Area : 5,900円
メンバー:
ナガシマ トモコ(Vocal)
藤本一馬 / フジモト カズマ (Guitar)
林 正樹 / ハヤシ マサキ(Piano)
西嶋 徹 / ニシジマ トオル(Bass)
斉藤 良 / サイトウ リョウ(Drums)

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