Momが明かす、心に残っている3曲の歌詞 「浅井健一さんの歌詞はワード全てに必然性を感じる」

Mom、惹かれた3曲の歌詞

結局いろんなものが、自分のパーソナルな領域に帰結してくる

――Momさんの歌詞についても伺っていきたいと思います。Momさんの歌詞には、怒りや悲しみを感じつつも、根底には“誰かと繋がっていることの重要性”も感じます。それは小沢健二さんや宇多田さんの歌詞にも共通しているように思うのですが。

Mom:日頃から考えていることとして、人と人が繋がることで初めて見えてくるものってあるんじゃないかなと思ってます。今世界がどうなってるかとか“自分”っていう像も含めて。例えば社会問題について考えるとき、自分が愛してる人たちが同じ目にあったら……って想像する。結局いろんなものが、自分のパーソナルな領域に帰結してくるものだと思うんです。それがわりと今の自分の書き方にも繋がっているのかもしれません。

ーー確かに、2ndアルバム『Detox』以降は、特にパーソナルな感情を描くことに重点を置いていますよね。

Mom:そうですね。前までは「俺こう思ってんだぜ、胸が痛いぜ」って感情を剥き出すことから抗ってきたところがあって。曲を書くときに、個人的な感情とは距離を置いていたんです。自分の場合は、そうすることでしか曲として成立しないんじゃないかなって思って。でも、徐々に自分の中でケリをつけなきゃいけないトピックが無数にあることに気付いて。長らく蓋をしていたものを一つ一つ潰していかないとって思うようになってから、自然と曲作りが変わっていきました。

――リアリティを持って歌詞を描かれているからか、“暮らし”という要素も大事にされているようにも思います。日常的な怒りや悲しみを描きながらも食事の描写があったり。そこには生活の尊さや愛おしさをも感じます。

Mom:自分の領域の中でいろんなものを見て切り取っているので、一つのリアリティとして取り入れているものなのかな。そこまで意識的に取り入れていたわけではないです(笑)。でも「食事」って野性的な感じがしていいですよね。僕、普段から人のことを疑っちゃうので。人と話してて、何か間に挟んでるなって思うことがたくさんあって。それって社会的な構造だと思うんですけど、ふと悲しくなっちゃうんです。この人と腹割ってしゃべれることってこの先ないのかなって。でもご飯を食べてる姿って、すごくむき出しな感じがするし相手を信じられる所作の一つだと思います。

――そうしたMomさんの思想が自然と歌詞にも滲み出ているのかもしれませんね。最後に今後Momさんの目指す歌詞のあり方についても聞かせていただけますか?

Mom:今はいろんな物事とかワードが自分のまわりにちゃんと現れてくれてる感覚があって。そのなかで必然性のある言葉を並べられていると思うので、その感覚があるうちはどんどん曲を描いていきたいです。あとはやっぱり、書き上げることで自分が一歩前進できるような曲を変わらず作りたい。ちゃんとケリをつけていきたいですね。

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■リリース情報
『21st Century Cultboi Ride a Sk8board』
7月8日(水)
価格:¥2,700(税抜)
収録曲:
1.胎内回帰
2.あかるいみらい
3.食卓
4.アンチタイムトラベル
5.マスク
6.レクイエムの鳴らない町
7.スプートニクの犬
8.ゴーストワーク
9.カルトボーイ
10.ハッピーニュースペーパー  
11.Old Friend (waste of time)
12.2040
13.(open_mic)

Mom公式HP

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