「Brush!!」インタビュー
神宿 一ノ瀬みかに聞く、自分らしくあるために貫き通す信念「いつもポジティブな存在であることが私の個性」
子どもの頃はラジオが音楽ツールとして大きかった
ーーここ最近、神宿の楽曲にも大人びたものが増えて、変化を迎えつつあるタイミングかと思います。
一ノ瀬:私は言ってしまえば、生まれたときから音楽がすごく好きで。歌も人一倍大好きでやってきたけど、神宿を始めた頃はアイドルの曲を1曲も知らなかったので、逆にアイドルを始めたことが驚きなくらいだったんです。
ーーというと、ど直球のアイドルソングと向き合っているほうが挑戦的だった?
一ノ瀬:そうだったかもしれないです。もちろん、すごく楽しかったですけど。
ーーそういった変化が、歌との向き合い方にも変化を与えていると思いますか?
一ノ瀬:自分の中の変化や成長というのは、私よりもファンのみんなが一番わかっていると思うんです。ただ、個人的には最近のアーティスティックな一面を見せられるような楽曲が好きなので、単純にやりたいことができてうれしいですね。
ーー音楽好きというのは、これまでのいろんな発言からも理解できますし、以前Spotifyで公開されたプレイリスト「一ノ瀬みかが勧めるバンドサウンド」からも伺えました。
一ノ瀬:ありがとうございます。私、ジャンルはまったく問わず、クラシックからV系、ボカロまで聴くので、プレイリストのお仕事は毎回困るんですよ(苦笑)。なので、まず最初にとんでもなく長いプレイリストができてそこから1曲ずつ削っていってテーマを決めていくんです。そこでも共感や共有が大事だと思っているので、マニアックな曲を選ぶのではなくて、みんなが好きそうな有名な曲をセレクトすることを意識しています。
ーー先ほどはジャズにハマッた時期があったとおっしゃっていましたが、普段音楽はどういうところでキャッチしているんですか?
一ノ瀬:私はおばあちゃん子だったので、子どもの頃はラジオが音楽ツールとして大きくて。ラジオ経由でCarpentersやThe Beatles、Bon Joviを知って、そこからレンタルCD屋さん経由でいろいろ聴くようになりました。だけど、ルーツは結構あやふやで。幼稚園の頃なんて、ブランコに乗りながらレッチリ(Red Hot Chili Peppers)を歌っていたくらいですから(笑)。
ーーめちゃめちゃパンクですね(笑)。ということは、幼少期から日常的に音楽が身の周りで流れていたってことなんでしょうね。
一ノ瀬:そうだと思います。おばあちゃんの家にいてもずっと演歌やクラシックが流れていたり、親も音楽が好きだし、姉もギターを作る人なので、相当音楽好きな家庭だったというのはあるかもしれませんね。
ーーでは、歌うことに対して意識的になったのはいつ頃でした?
一ノ瀬:小学生の頃に合唱団に入っていたので、その頃かな。そこで歌のことを学んだんですけど、学校とは別の場所で、結構拠りどころになった場所でもあったんです。なので、学校に行くのが億劫だなと思うときは合唱団だけ行って、そこで友達もできたりして。最後の頃は団長をやっていましたし、そのくらい大切な場所でした。
ーーその歌を今、神宿として6年近くもお仕事にしているわけですよね。
一ノ瀬:歌を仕事にするということは、聴いてくれる人がいないと成り立たないわけで。最初、私たちはファン3人をメンバー5人で取り合うような感じだったので、そこから考えると何万人という人が神宿のことを大好きでいてくれるっていう今は、本当に感謝の一言に尽きます。
5年以上歌ってきていろんな技術を身につけることができた
ーー話題は変わりますが、7月に入ってから神宿のオフィシャルサイトがリニューアルされました。YouTubeにも最新アー写のメイキング映像が公開されていましたが、だいぶ大人っぽいイメージでしたね。
一ノ瀬:今までにない神宿を更新していくのを大事にしていたので、今回も既存のイメージにとらわれない新しいビジュアルを提供できたのかな。世の中がちょっと暗くなってしまって、ファンの人たちともなかなか会えないので、いつもよりも盛り盛りな感じで3パターンも撮っちゃったんですけどね(笑)。
ーー「既存のイメージにとらわれない」のは楽曲面にも言えることで、4月の「在ルモノシラズ」から毎月、いろんなタイプの新曲が配信されています。今回の新曲「Brush!!」は夏曲ですけども、いわゆる王道アイドルの夏曲とはまた違った爽やかさを持った1曲です。この曲を初めて聴いたときはどう感じましたか?
一ノ瀬:最初に聴いたデモはコード進行含めてもっとシンプルだったんですけど、私は「いいじゃん!」ってスッと入っていけました。歌詞もすでにこのままだったのかな。以前の夏曲「Summer Dream」が応援ソングだったのに対して、今回の歌詞は女の子にフィーチャーした内容で、そこを大事にしているのかなと思いました。
ーーメンバーが全員20歳を超えた今だからこそ、メッセージとして伝わるものも強いのかなと思いました。同世代の女性に向けてというのもあるでしょうけど、お姉さんがちょっと年下の子の背中を押してあげたりとか、そういう空気も伝わってくる曲ですよね。
一ノ瀬:うんうん、そうですね。
ーーそういう歌が歌えるようなグループになってきたのかなと。この曲をレコーディングする際には、どういったことを意識しましたか?
一ノ瀬:レコーディングのときって、昔は感情表現のボキャブラリーがすごく少なかったから「一生懸命歌おう」とか「元気に歌おう」という気持ちが強かったんですけど、今は5年以上歌ってきていろんな技術を身につけることができたので、例えば子音の1つひとつを強くすると爽やかに聞こえるとか、もっと女の子っぽく可愛い感じになるとか、そういう細かい部分でかなり工夫をしています。
ーーなるほど。今回はセリフパートも用意されていますが。
一ノ瀬:実は、めちゃめちゃいろんなパターンを録ったんですけど、その中で選ばれたのがこれだったので、私的にはちょっと意外だなと思って。「このテイクを使うんだ」と驚きました(笑)。
ーーほかのメンバーとの前後のつながりを考慮して、このテイクが選ばれたんでしょうね。
一ノ瀬:そうだと思います。でも、そういうことって結構あるんですよ。この曲、歌い出しが私のパートなんですけど、自分が一番良かったと思ったテイクとは違うテイクが採用されて。たまに不安になって「これでいいんですか?」って聞くときもありますけど(笑)、「大丈夫です、最高です!」と言ってもらえて安心するんですけどね。