森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.209
嵐、ジェジュン……この時代に求められる深いメッセージ性を感じさせる作品 新譜からピックアップ
DAOKO自身が作詞・作曲した楽曲を、彼女自身がビートメイカー、アレンジジャーとともに制作したニューアルバム『anima』。ドラムンベース的なテイストを取り入れた「ZukiZuki」、R&Bとエレクトロを融合がせた「Sorry Sorry」など、音楽的なハイブリッド感覚はさらに進化。DAOKO特有の言語感覚をたっぷり含んだリリック、抽象的にしてエキゾチックな雰囲気のボーカルを含め、個性と大衆性を兼ね備えた作品に仕上がっている。タイトル曲「anima」の〈悲しいがな我々は/ひとつにはなれない〉〈どうか争いがおきませんように〉というラインも絶品。個であることを肯定し、分かり合えないことを受け入れたうえで、多様な社会を生み出したい。この曲の歌詞からは、そんなメッセージを感じ取ることができる。
ドラマ『アイドル×戦士 ミラクルちゅーんず!』『魔法×戦士 マジマジョピュアーズ!』、『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!』の主演キャストによるガールズ・パフォーマンスグループ・Girls²の新作EP『私がモテてどうすんだ』。映画『私がモテてどうすんだ』の主題歌として制作されたタイトル曲は、華やかなバンドサウンド、ソウルと歌謡曲が混ざり合うメロディが印象的なアッパーチューン。さらに注目すべきは〈恋も愛もくだらないわ〉〈情熱で生きてんの〉〈なにレベル分けして変えてんの?〉などのフレーズがちりばめられた歌詞。不器用ながらも自分らしく恋愛にぶつかろうとする姿もまた、この曲の魅力だろう。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。