嵐、ジェジュン……この時代に求められる深いメッセージ性を感じさせる作品 新譜からピックアップ

 昨年の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)で初披露された嵐のニューシングル『カイト』、切ないラブソングを中心にしたジェジュンのカバーアルバム第2弾『Love Covers II』。この時代に求められる、深いメッセージ性を感じさせる5作をピックアップします。

 2019年末の『NHK紅白歌合戦』で初披露された「カイト」が、ついにCDリリース。NHK2020ソングとして制作され、嵐と米津玄師によるコラボレーションが実現したこの曲は、未来に対する希望やアスリートへのエールが込められているわけだが、自己犠牲的な努力を強いることなく、楽曲の主人公自身が一人で抱いた目標や夢に向かって少しずつ進んでいくことの素晴らしさ、愛しさを描いている。それを象徴しているのが〈いつもの右ポケットに/誰も知らない物語を/密かに忍ばせて〉というフレーズだ。国民的スターでありつづける嵐、新しい世代を代表するアーティストである米津が、東京2020に向けた楽曲を通し、“あなたはあなたであればいい”というメッセージを伝えたことには大きな意義があると思う。メンバー一人ひとりの歌声をじっくり味わえるアレンジも、楽曲のテーマを際立たせている。

NHK2020ソング 「カイト」 スペシャルムービー
ジェジュン『Love Covers II』(通常盤)

 オリコンウィークリーチャートで1位を記録した『Love Covers』に続く、カバーアルバム第2弾『Love Covers II』が到着。コロナ禍の渦中、「皆様が大変な今の時期に、自分に何ができるのかを考えまして、皆様が知っている楽曲を歌って、早く自分の唄声を届けさせていただくのが良いかと思い」(ジェジュンのコメントより)という動機で制作された本作には、「たしかなこと」(小田和正)、「セカンド・ラブ」(中森明菜)、「別の人の彼女になったよ」(wacci)、「逢いたくていま」(MISIA)などを収録。大切な人、愛する人への深い思い、いまは離れている人に向けた切ない感情を綴った楽曲を切々と歌い上げている。社会のムードに合わせて、“みんなが聴きたい歌を歌う”ことにフォーカスした作品だ。

Covered by J-JUN『別の人の彼女になったよ』short ver./ジェジュン(J-JUN 김재중)
ヨルシカ『盗作』(通常盤)

 ボカロPとしても活躍しているn-buna、女性シンガーのsuisによるバンド、ヨルシカ。1stアルバム『だから僕は音楽を辞めた』、2ndアルバム『エルマ』で“音楽を辞めることにした青年と、彼から送られてきた手紙に影響を受け、音楽を作り始める女性”の物語を描いたヨルシカは、新作『盗作』において、“オリジナリティとは何か?”というテーマを掲げた。先行する音楽、映画、文学などの影響を受けながら、〈まだ知らない愛を書きたい。/この心を満たすくらい美しいものを知りたい。〉(「盗作」)という渇望を綴った本作は、このバンドの創作に対する強烈なモチベーションに直結している。ギターロック、エレクトロ、ファンクなどを融合させたサウンドメイク、楽曲に込められた物語性/メッセージ性を生々しく響かせるsuisのボーカルも最高。

ヨルシカ – 盗作(OFFICIAL VIDEO)

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