DAOKOの二面性が引き立たせるミステリアスさ バンド編成による『二〇二〇 御伽の三都市 tour』東京公演

DAOKOの二面性が引き立たせるミステリアスさ バンド編成による『二〇二〇 御伽の三都市 tour』東京公演

 DAOKOが2月10日、東京・LIQUIDROOMにて東名阪ツアー『二〇二〇 御伽の三都市 tour』東京公演を開催した。

 DAOKOは今年1月、小袋成彬プロデュースの新曲「御伽の街」を発表。同曲を携えた今回のツアーは、2019年に開催した『enlightening trip 2019』でのバンドスタイルが好評だったことを受けて実現したという。

 今回のバンドメンバーには、前回ツアーより継続となる鈴木正人(Ba/LITTLE CREATURES)、大井一彌(Dr/DATS、yahyel)、網守将平(Key)のほか、永井聖一(Gt)を新たに招集。彼らのプロフィールは以下記事を参照してほしいが、この盤石すぎる顔ぶれを見た段階で、早くからステージ上での“化学反応”に期待感が溢れていた(参考:藤原さくら、DAOKO、角銅真実……2020年、新たなサポートで生まれ変わる女性アーティスト)。

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 ライブ当日のステージセットは、各楽器がボーカルを囲うように半円状に並べられており、まるで何かの実験を行なうかのようだった。実際に、ライブ中にはバンドという集合体でありながら、各パートが独立してDAOKOとのセッションを繰り広げる場面も。時に彼女に優しく寄り添い、時にその焦燥感を駆り立てるようなサウンドを展開した。また、その際にはDAOKOがいわば“客体”となり、“主体”となるバンドが彼女を音楽で揺さぶることで、これまでの音源で聞いたことのない、DAOKOの歌声における新たな表現を導き出すような光景も目撃された。これは、ボーカルとサポートバンドとして今までにない関係性だろう。

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 そんな最新モードのDAOKOを象徴したのが、ライブを超えて“ショーケース”と呼ぶに相応しいほど、細部まで展開が作りこまれた本編中盤ブロックだ。最新曲「御伽の街」のほか、「かけてあげる」や「さみしいかみさま」で熱量を上げたライブ序盤を経て、未発表の新曲「おちゃらけたよ」に。「街のスピードに自分が追いつけていない」という少し影を感じるコメントに続き、水の底にたゆたうようなダウナーな雰囲気へと会場全体が一気に切り替わる。振り幅の激しい感情の波が落ち着いたところで、これは何かがあるに違いない。その予感はすぐに的中した。

 続く「Fog」「7日間創造」「ゆめうつつ」では、極採色のスポットに包まれながら、この日のピークタイムを迎える。まず、バンド演奏に目を向けると、「Fog」終盤ではDAOKOが同曲で奏でた歌声をぴしゃりとかき消すように、バンド全員が豪雨とも思えるほどの激しいサウンドをかき鳴らす。そこから強烈なスネアの一打で会場全体がしんと静まったかと思えば、「7日間創造」では、現代音楽的で物静かなイントロとは裏腹に、曲中ではうねるような打ち込みのベースラインに身体を大きく揺さぶられる。この“静”から“動”への流れは、次曲「ゆめうつつ」にも共通していた。

 もちろん、DAOKOの歌声や歌詞もまた、大きな感情の起伏を備えていたことは言うまでもない。彼女の歌声は、孤独のなかにありながらも、誰かを愛する想いや願望を抱いており、そっとささやくようなか弱さにも、たしかな芯の強さが同居していた。これらの相反する二面性は、彼女に備わる“謎めいた”オーラをますます強めていたようにも思う。

 また、この二面性が前述のバンド演奏と重なると本当に恐ろしい。端的に言えば、「次はこんな展開になりそうだ」とあらかじめ想定していても、次の瞬間にはまったく違う光景がステージ上に広がっているのだ。恥ずかしながら、そんな激しいパフォーマンスを次々に浴びて、気がつけばDAOKOによって圧倒的なまでに“やられて”しまった自分がいた。

 そのため「真夏のサイダー」がフロアに心地よい清涼感を運ぶ頃には、すでに頭がぼーっとしており、「水星」では精彩なメロディにあわせて天井のミラーボールを静かに見上げていた。そこからの「打上花火」でも、季節外れの花火に想いを馳せながら、夏の終わりの地平線のように輝くステージを見て、自然と涙さえ零してしまった。生バンドでの「打上花火」は、とてもよく沁みる。

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