『私の家政夫ナギサさん』主題歌あいみょん「裸の心」、メイ=多部未華子に寄り添う楽曲 劇中での効果的な使われ方も

 第1話の段階ではメイは田所(瀬戸康史)とも、ナギサとも、他の誰かともまだ恋に落ちるようなそぶりは見せていない。だが母を想い、気持ちを募らせる苦しみが恋慕の歌詞に乗って、切なくじんわりと心に届くのだ。本作の主題の一つには、「母親」という存在がある。このテーマは「裸の心」が“懐かしさ”を感じさせる楽曲であることでより深みを増し、恋愛についての歌詞でありながら、母の持つ「愛」の温もりをも想起させた。第1話では特に、無償の愛こそがメイの生活を変化させるのではないかと思わせる描写が続く。実際に楽曲が流れるこのシーンでは母親代わりのようにメイの身の回りの世話をするナギサが、メイの手を握り寝ている姿を見守っていた。さらに今後の展開次第では、このサビの歌詞はナギサと繋がれていた「手」と共に何か重要な意味が持たされる可能性もある。岩崎愛奈プロデューサーは主題歌について、「毎日を頑張って生きる女性たちの言葉にできない思いを代弁してくれるような、そしてそっと寄り添ってくれるような」楽曲を探していたという。ドラマの展開と共に、歌詞に込められたメッセージをより深く読み込んでいくこともまた、主題歌を味わう醍醐味となるだろう。

 実は『私の家政夫ナギサさん』の原作、「家政夫のナギサさん」(著者:四ツ原フリコ)はすでに完結している。ドラマと原作が必ずしも同じ展開を辿るとは限らないが、この完結したコミックと合わせて「裸の心」を聴くと、また違った視点で楽曲を味わうこともできるのだ。ドラマの第2話では、メイが田所と合コンで再会し、関係が進展する様子が予告で公開されている。この恋愛模様が「裸の心」で歌われる〈この恋〉に当たるのか。主題歌と合わせてドラマの進展も、母の愛のように暖かく見守っていきたい。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

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