米津玄師「感電」とドラマ『MIU404』に通じるバランスとセンス 主題歌として流れるタイミングにも注目

 いよいよ放送が始まったTBS系金曜ドラマ『MIU404』。その主題歌として書き下ろされた米津玄師の新曲「感電」が、6月26日放送の第1話で解禁された。

 『MIU404』は、米津が主題歌「Lemon」を提供した2018年のドラマ『アンナチュラル』のチームが再集結したことでも話題になっている。脚本の野木亜紀子、監督の塚原あゆ子、プロデューサーの新井順子、劇伴の得田真裕をはじめとした『アンナチュラル』チームと米津玄師のタッグが2年ぶりに実現したのだ。不自然死の謎を究明する研究機関・UDIラボを舞台にした『アンナチュラル』。遺された者の喪失と悲しみ、祈りを歌う「Lemon」。共鳴し、互いのさらなる魅力を引き出し合った両者は、ドラマとその主題歌における理想的な関係を結んでいた。『アンナチュラル』が名作と言われる理由の一つは「Lemon」だったし、「Lemon」が名曲と言われる理由の一つは『アンナチュラル』だった。それだけに、今回米津が『MIU404』に対してどのような曲を書いたのか、注目していた人も多かったのでは。

 『MIU404』は、警視庁・機動捜査隊にスポットを当てたドラマ。第4機動捜査隊、通称“4機捜”に配属された伊吹藍(綾野剛)と志摩一未(星野源)はバディを組むことになった。勤務は24時間制。2人1組で覆面パトカーに乗ってパトロールをし、事件があれば現場へ急行、初動捜査を行い、そこで解決できそうにない場合は他の課に引き継ぐ。この働き方に対し、「もう、張り合いがない!」とこぼすのが伊吹、「検挙率を上げるためのパーツとして働く。自分の満足のためじゃない」と割り切っているのが志摩だ。

 バディものといえば、Aの長所がBの短所を、Bの長所がAの短所を補いながら、成長していく物語が多い。しかし伊吹&志摩の場合、“伊吹が熱血タイプ、志摩が冷静タイプ”というふうに一概には言えなさそうだ。例えば、伊吹は“野生の勘”で動いているようだが、それが言語化できていないだけで、一応彼なりの理屈があるのでは、ということを示唆させる場面があった。一方、伊吹の無茶な運転を叱っていた志摩は、犯人を追いかける際、伊吹よりもよっぽど荒い運転をしていたし、挙句には車を横転、廃車させた。伊吹がヤバいやつなのは誰の目にも明らかだが、志摩にはパッと見では分からないヤバさがある。そんな2人が組んでいるのだから、物語は(見事に伏線を回収しながらも)予想外の方向に転がっていく。

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