荻原梓のチャート一刀両断!
あいみょん、『私の家政夫ナギサさん』主題歌がチャート健闘 幅広い世代を虜にするバラードシングルに
最新のオリコンチャートによれば、KinKi Kids『KANZAI BOYA』が187,254枚を売り上げて1位を記録。続いてSF9の『Good Guy』が30,388枚で2位、King & Princeの『Mazy Night』が3位となった。1位から3位まで人気アイドルが占めるなか、4位と大きく健闘したのがあいみょんのニューシングル『裸の心』だ。
「マリーゴールド」を筆頭に「君はロックを聴かない」や「愛を伝えたいだとか」といった彼女の楽曲は、常に各種配信サイトでランクインし続けており、今なお根強い人気を見せている。それどころか、CDの売り上げ枚数でも着実に結果を残していて、今回のオリコン週間シングルランキング4位という結果はランク上では自己最高となる。ストリーミング時代の覇者として、あるいは新世代の旗手として、確固たる地位を築きつつあるあいみょん。なぜ彼女は、若い世代だけでなくCDの売り上げでも結果を残すのだろうか。
“むき出し”のアレンジ
『裸の心』はあいみょんのメジャー10作目のシングル。ドラマ『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)の主題歌である。ただ、タイアップといえども、番組公式サイトに掲載されているコメントによれば、もともとは2017年に書かれた曲なのだとか。当初はアルバム曲として制作していたものの、アレンジャーのトオミヨウから送られてきた音源を聴いて感動し、シングルへと変更したらしい。
今作はいわゆるバラードで、切なくも美しいメロディを感情たっぷりに歌い上げるボーカルが印象的。だが、豪華に着飾ったサウンドで聴き手を圧倒するようなものではなく、楽曲の芯の部分をそのまま放ったような作りをしているのが特徴だ。
こうした“むき出し”のアレンジは歌の骨格部分が直にリスナーへ届くため、歌い手にとってある程度の勇気が必要である。ましてやシングル曲。パンチの効いたサウンドで大げさに歌い上げたくなるアーティストも多いはず。しかし、アレンジャーの話によると「あくまでも私的な雰囲気にしたい」という彼女の要望からこうした作りになったのだそうだ。(参考:日経エンタテインメント!)
結果、彼女らしく等身大で、聴き手の孤独にやさしく寄り添うような魅力を持った楽曲になっている。ボーカルの細かな機微でさえも心にストレートに届くのだ。こうしたアレンジを選ぶセンスが若い世代の共感を呼ぶ所以なのだろう。