King Gnu 井口理、Creepy Nuts……『ANN』なぜ音楽系人気パーソナリティを輩出? プロデューサーに聞く番組制作のスタンス

『ANN』番組Pに聞くパーソナリティ選定理由

『大倉くんと高橋くん』立ち上げ経緯、SixTONESのラジオ適性

ーー2015年4月から2020年3月まで放送されていた『オールナイトニッポンサタデースペシャル 大倉くんと高橋くん』では、関ジャニ∞の大倉忠義さん、シンガーソングライターの高橋優さんという組み合わせが新鮮でした。このおふたりを抜擢された背景についてお聞かせいただけますか?

冨山:『大倉くんと高橋くん』は立ち上げのディレクターを担当していました。当時ニッポン放送の金字塔だった『福山雅治のオールナイトニッポンサタデースペシャル・魂のラジオ』の放送終了後の枠にあたるので、どういった番組を作るかは非常に難しかったのを覚えています。高橋優さんは特番として『ANN』のパーソナリティをかなりの回数やられていたので、レギュラーとして出演いただきたいなと思っていたのですが、1人ではなく2人で話してもらった方が面白いのではないかと。そこでもう1人を誰にしようかと考えていた時期に、関ジャニ∞のライブを観に行かせていただいたんです。そしたら、高橋さんが関ジャニ∞に楽曲提供をしていたこともあって、ライブにもいらっしゃっていて。そこで「高橋優さんと関ジャニ∞は繋がっているんだな」と気づいたことが着想のヒントになりました。

ーーそうだったんですね。

冨山:もともと大倉忠義さん自体が『ANN』に合うんじゃないかと思っていたんです。それまでニッポン放送で『関ジャニ∞大倉忠義 日曜日好っきゃねん/ラジオ好っきゃねん』(2013年4月7日〜2014年3月23日)という番組をやっていたのですが、そこでの大倉さんは必ずしもアイドルとしてだけでなく、もっと広い視点で話していらっしゃっていて。なので最初は2人が音楽について語り合う90分を想定して企画書を書いていたんです。ですが、高橋さん、大倉さんとコミュニケーションをとっていく中で、音楽に特化するよりも中学生や高校生に「やっちまった話」や「失敗談」をリアルタイムで聴く生放送の方がいいかもしれないと思って『大倉くんと高橋くん』の形になっていきました。とはいえ音楽的なマインドを持っている方々なので、浜田省吾さんの曲をセッションしてくれたり、2人で自主的にスタジオに入ってセッションしてくれたりもしてくれましたね。

ーーおふたりのアーティストとしての魅力と人としての魅力の両方が引き出されている番組でしたよね。『大倉くんと高橋くん』番組終了後には『SixTONESのオールナイトニッポン』が放送開始となりました。冨山さんはSixTONESについてインタビューで「ラジオの勘が良い」と話していましたが、どういったところにラジオの勘というものを感じたのでしょうか?

冨山:SixTONESに関していうと6人とも非常に良かったんです。田中樹さんは『Creepy NutsのANN0』を聴いているし、松村北斗くんと髙地優吾くんは 『オードリーのANN』を聴いていたのでラジオの空気感もすでに知っていましたし。また、彼らはどんなボールが来ても基本的に打ち返せる。特番として出演いただいていた頃から、6人とも来た球に対して何かしら絶対リアクションをするんです。それが非常にラジオ適性としてハマっているなと思いました。ラジオへのリスペクトを非常に持って頂いている6人だったので、番組がスタートする際に、番組の前テーマをどうするかとなった時に、新しい時代のオールナイトニッポンを創るという意味を込めて、オールナイトニッポンのテーマ曲「Bitter Sweet Samba」をDJ松永さんにREMIXして頂きました。

『ANN』パーソナリティに求める感覚

ーーなるほど。これまでパーソナリティの選定へのこだわりなど伺ってきましたが、歴代のパーソナリティを通して『ANN』に合う方はどういう方だと感じますか?

冨山:『ANN』って深夜に原則生放送でオンエアしている番組ということもあって、一方的に自分の話をするよりは、「リスナーと一緒に夜を過ごす」という感覚を持ってトークができることが重要な気がします。トラックで長距離運転をしながら聴いている人がいるとか、パン屋さんや新聞屋さんで仕事の準備をしながら聴いている人がいるとか。その人たちに向かって話してほしいということではなく、「そういう人が全国36局で聴いている」と想像することはすごく大事だと思います。

ーー確かにパーソナリティのみなさんに、どこか親近感を感じるのもそういった意識を持ってトークされてるからかもしれません。では、最後にパーソナリティとして注目しているミュージシャンの方がいたら教えていただけますか。

冨山:やはりYOASOBIですね。YOASOBIは、小説をもとに曲を作るというところにとても興味があって。僕は「ラジオを聴くこと」と「小説を読むこと」って似ているように思うんです。ラジオを聴くのも、小説読むのも、一見さんにとってはちょっとハードルが高い。だけど、どちらも好きな作品や番組を見つければ、どんどんハマっていったりしますよね。そうした点を踏まえると、YOASOBIはどういう世界観をもってラジオやるのかなと楽しみです。

※1:アルバム『YELLOW DANCER』制作時に星野が提唱した音楽ジャンル「Yellow Music」に沿う楽曲を星野自ら選曲し解説する。

※2:リクエストされた4曲を歌い出しの1文字目までかけ、そのなかから星野の独断で1曲をフルコーラスで掛けるコーナー。

■番組情報
『YOASOBIのオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)
放送日:2020年7月18日(土)27:00~28:30
※19日(日)3:00~4:30
ニッポン放送をキーステーションに全国ネットで生放送
※一部ネット局では29:00(5:00)まで放送
番組HP

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