森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.206
Mrs. GREEN APPLE、TWICE……グローバルポップの潮流と独自のテイスト 新譜からピックアップ
海外のヒップホップ、インディーポップと同期しながら、独創的なエディット感覚を加えたトラックメイク。エキゾチックな雰囲気と日本的フォークっぽさが合わさったフロウ、そして、時代背景、社会の状況をトレースしながら、“ここからどう生きるべきか?”をナチュラルに提示した歌詞。ニューアルバム『21st Century Cultboi Ride a Sk8board』でMomは、まるでドキュメンタリーのような生々しい歌と最先端のポップネスをたたえたプロダクションを見事に両立させてみせた。物事から目を逸らさず、ポップスとしての気持ち良さも手放さない本作は、たとえばThe 1975やThe Weekendの新作と並び、2020年をビビッドに映し出すエポックメイキングなアルバム。カニエ・ウェストやジェイペグマフィアなどにインスパイアされたというリッチなサウンドメイク、表情豊かなボーカル/ラップもきわめて刺激的で、今年を象徴する作品であることは間違いない。
前作『ズルいよ ズルいね』(2019年10月)で初のオリコンウィークリーチャート1位を獲得し、デビューから3年でようやく本格的ブレイクのきっかけを掴んだ=LOVE。通算7作目のシングル『CAMEO』の表題曲は、ハウスミュージック系のDJ/V6、ケツメイシなどへの楽曲提供で知られる田尻知之(note native)、劇伴、CMなど幅広く活躍している本澤尚之が作曲とアレンジを担当。異国感が漂うメロディ、EDMやレゲエなどを織り交ぜたトラックなど、海外のシーンともリンクしたダンスチューンに仕上がっている。プロデューサーの指原莉乃による、強気な女の子の恋愛を描いた歌詞を含め、=LOVE史上もっとも攻めた楽曲と言えるだろう。カップリングには爽やかなバンドサウンドと抜けのいいメロが響くアッパーチューン「君と私の歌」、諸橋沙夏の初のソロ曲「My Voice Is For You」を収録。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。