μ'sの歴史をターニングポイントを彩った名曲で振り返る 『ラブライブ!』シリーズ10周年を祝して
『ラブライブ!』シリーズが、6月30日に誕生10周年を迎えた。
『ラブライブ!』は、2010年6月30日に『電撃G's magazine』誌上にて連載を開始。その後、高坂穂乃果(CV:新田恵海)を中心とした9名にμ'sという名が舞い降り、彼女たちは伝説のスクールアイドルユニットとなった。この記念日にあわせて、本稿ではμ'sのターニングポイントを彩った楽曲を紹介しながら、その歴史と功績を振り返りたい。
ユニット黎明期の2010年12月に生まれ、その成熟期まで代表曲のひとつとして歌い続けられてきた「Snow halation」。切なくも優しいピアノの旋律が象徴的な楽曲で、ライブ披露時には、センターを務める高坂穂乃果のイメージカラーに合わせ、ファンが一斉にサイリウムを白色からオレンジ色に切り替える演出が定着。その光景は、μ'sの地上波音楽番組への出演時にしばしば紹介されたほか、ここから少し先の話だが、同楽曲が2014年4月より放送されたTVアニメ第2期9話の挿入歌となった際にも、この演出が逆輸入と呼べる形で採用された。まさに、μ'sを語る上で欠かせない楽曲である。
2013年1月にはTVアニメシリーズがオンエアを開始し、2014年4月放送の第2クールまでを制作。アニメMVを忠実に再現したキャストによるライブステージなど、徹底した“物語ファースト”な姿勢の『ラブライブ!』シリーズにとって、アニメとはすべてを支える礎である。その上で、第1期オープニングテーマ「僕らは今のなかで」は、メンバーたちの活動への想いや初期衝動を歌うなど、“原点にして頂点”といえる楽曲。どこまでも煌びやかなで華やかなシンセサイザーのサウンドが、彼女たちの放つ“輝き”を一層強めるようでもある。
また、『ラブライブ!』がここまでのモンスターコンテンツとなった背景には、スマホリズムゲーム『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』の登場も大きい。同ゲームが、アニメに親しみのない一般層にまで広く普及したことは、μ'sが2015年以降に大きな躍進を遂げる上で欠かせなかった要素だ。そんな同ゲームのテーマソングが、2014年1月発表の「タカラモノズ」。ベースから始まるイントロが、ゲームのスタートを待つワクワク感とも通じて心躍るなど、まるでアトラクションを前にしたかのようなご機嫌な気分になってしまう楽曲だ。鳴っていないはずの“シャンシャン”としたリズムノーツ音が、今でも脳裏に焼きついてどこからともなく響いてくる。
2015年6月には、劇場版『ラブライブ!The School Idol Movie』が公開。同劇中にてμ'sの活動は幕を閉じ、それは同時に、声優キャスト陣もまた、近い将来にその衣装と別れを告げることを暗に示すようでもあった。それでもμ'sは、この劇場版、そして人間讃歌ともいえる劇中歌「SUNNY DAY SONG」を通して、すべてのスクールアイドルが平等に“輝ける”ことを高らかに歌い、その未来に夢を託した。楽曲を通して鳴り続ける泣きメロのギターリフが、μ’sらしい突き抜けて朗らかな印象を与え、メンバー9名での時間は“永遠”ではないが、“無限”に続いていくことを誰しもに強く約束するようでもある。