伊藤美来、内田真礼、『ラブライブ!』シリーズ……外出自粛に伴い公開相次ぐ、声優アーティストのライブ映像に注目

 この話題を導入にする日々が早く終わることを願うばかりだが、先般から猛威を振るう新型コロナウイルスの影響により、国内音楽市場が大打撃を受けている。これは、アニメ/声優音楽シーンもその例外ではない。

 そんな情勢のなかでも、内田彩が同業界内でも先陣を切って、3月15日に埼玉・大宮ソニックシティ 大ホールより無観客での生ライブ配信を敢行(参考:内田彩が挑んだ、声優アーティストとして異例の無観客配信ライブ どんな場面でも笑顔でいることの尊さを刻む)。彼女に続くように、数多くのアーティストがそれぞれの可能な範疇で、リスナーが自宅でも心を踊らせられるような素晴らしい音楽表現を届けてくれている。

伊藤美来『ITO MIKU 5th Live Miku’s Adventures 2019 ~PopSkip Life~』

 伊藤美来もそのうちの一人だ。彼女は、自身初となる音楽映像作品『ITO MIKU 5th Live Miku’s Adventures 2019 ~PopSkip Life~』を、当初予定していた4月22日から、5月27日まで発売延期することに。しかし、同情報にあわせて、Twitterにて開催した人気投票の結果、見事1位に選ばれた同作収録曲「TickTack Invitation」のライブ映像を公開してくれた。

 2019年1月発売の5thシングル『閃きハートビート』におけるカップリング曲ながらも、ファンからも特に人気が高い「TickTack Invitation」。シングル発売同年に大学を卒業した伊藤への“卒業ソング”として制作され、アメリカの卒業パーティであるプロムをイメージし、シャッフルビートのハネ感を活かした思わず踊りたくなる一曲に仕上がっている。

伊藤美来 / TickTack Invitaton (『ITO MIKU 5th Live Miku's Adventures 2019 ~PopSkip Life~』)

 また、2019年10月に開催された同作収録ライブのなかでも、「TickTack Invitation」は伊藤の歌唱やダンスはもちろん、演出面でのこだわりぶりにも気がつけるパートである。彼女の持ち味のフレッシュさはそのままに、地声と裏声をエモーショナルに行き来する、どこか感傷的なメロディ運びのサビや、それまで過ごしてきた時間への愛しさを噛みしめる歌詞も相まり、アップテンポながらも少しばかりノスタルジックな気持ちにさせられる。

 そのほかにも、詳細は以前のライブ評を参照いただきたいが、公演が進むにつれてその景観を変えていった、ステージ後方にある切り絵状の街のセットも注目すべきポイントのひとつ。視聴の際にはあわせて意識してみてほしい(参考:伊藤美来がライブで表現した『PopSkip』の世界観 癒しの歌声届けた5thワンマン)。卒業式や入学式など、人生の節目となる催しも各地で中止になった昨今だからこそ、新生活を迎えた人にはぜひ、この映像が届いてほしいものだ。

 続けて、内田真礼は4月18日より2週間限定で、ABEMAにて過去のライブ映像2本をフルサイズで公開。2016年2月に東京・中野サンプラザで開催した自身初ライブ『Hello, 1st contact!』と、2017年2月に代々木第一体育館へと規模を拡大した2ndライブ『Smiling Spiral』の模様を楽しむことができる。なお、この映像公開は、当初は今年4月にファンクラブイベントを開催予定だったものの、同公演の延期を受けて決定したのことだ。

 そんな内田真礼のライブで見どころなのが、ホールスケールならではの大掛かりな演出。なかでも特筆すべきが、2ndライブで披露された「モラトリアムダンスフロア」「クロスファイア」の2曲だ。「モラトリアムダンスフロア」では、ステージ上に和太鼓と鼓の邦楽集団が。そこに、光彩豊かな和装アレンジ衣装の内田真礼が登場し、熱唱を繰り広げる様子は、単純に迫力がスゴい。そこからの「クロスファイア」は、福岡ソフトバンクホークスファンで知られる彼女だからこそ歌える野球ソング。ここでは、センターステージから客席に向けて豪快にフルスイングし、実際にボールを打ち込むという規格外ぶりを見せつけた。

 また、同映像公開にあわせて、内田真礼は自身のTwitterにて実況も実施。「#おうちでまあやらいぶ」というハッシュタグを考案し、1stライブと2ndライブ当時のステージ演出や客席を眺めての心境、さらには当日に前髪を自分で切っていたという裏話まで、様々なエピソードを明かしていた(参考:内田真礼 公式Twitter)。そんな両公演のセットリストには重なる披露曲もあるからこそ、その時々でのステージングや成長ぶりを比較しながら、“思い出更新”するのも面白いかもしれない。

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