μ'sの歴史をターニングポイントを彩った名曲で振り返る 『ラブライブ!』シリーズ10周年を祝して

 そして、2016年4月1日、東京ドームでのファイナルライブにて、キャストによるライブ活動は一区切りを迎えた。これは決して、μ’s自体の終焉を意味するものではなかったが、大きな別れに違いはない。そんな同公演のタイトルにも通じていた楽曲が、2015年4月発表の「ミはμ'sicのミ」。歌詞にある〈μ'sic Forever!〉のフレーズをテーマに掲げ、ユニットとしての“足跡”を懐かしみながら、限りなく今、この一瞬を全身全霊を捧げて楽しもうとする刹那な想いに、胸がキュンと締め付けられる。

【試聴動画】ミはμ’sicのミ(「ラブライブ!みんなで作るμ'sの歌」コラボシングル)

 ほかにも、「after school NAVIGATORS」などを歌った“にこりんぱな”によるラジオ活動、「LONELIEST BABY」など稀代の名曲を数多く生んだTVアニメBlu-ray限定封入特典楽曲など、μ’sのトラックリストの魅力は語り尽くせない。また、Printemps、lily white、BiBi、そしてライバルグループのA-RISEらによるユニットナンバーも忘れてはならないだろう。

 なかでもPrintempsは、2015年7月に広島県内にて開催されたファンミーティングツアーにて、TVアニメ第1期 BD/DVD ゲーマーズ全巻購入特典 CD収録曲「ぷわぷわーお!」を披露。こういったレアトラックの存在も、μ’s楽曲の味わい深さを象徴するのではないだろうか(ちなみに、同楽曲の披露はシリーズ史上この公演のみだった)。

 2016年以降も、μ’sは新たなゲームやグッズ制作などで継続した活動を展開してくれたほか、今年1月には『ラブライブ!フェス』にて、約4年ぶりにキャストによるパフォーマンスを披露。同年3月には、シングル『A song for You! You? You!!』も発売している。徳井青空(矢澤にこ役)は常々、μ’sを「いつ好きになってもいいし、いつまでも好きでいていい」という旨を語っているが、その言葉通り、彼女たちとの時計の秒針は、それぞれが出会った瞬間から今なお進み続けているのだ。

 シリーズ誕生から10周年を迎えて、ファンはもちろん、メンバーとキャストもまた、“あの頃”に通ずる想いを抱きながら、誰もが経験と成長を重ねて、違った毎日を過ごしているはずだ。それでも『ラブライブ!』シリーズはいつ、どんな場面でも自分自身の歩む道のりを肯定してくれる。なぜなら〈それぞれが好きなことで頑張れるなら 新しい場所がゴール〉(「僕らは今のなかで」)なのだから。

■一条皓太
出版社に勤務する週末フリーライター。ポテンシャルと経歴だけは東京でも選ばれしシティボーイ。声優さんの楽曲とヒップホップが好きです。Twitter:@kota_ichijo

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