Foorin「パプリカ」、なぜ子供から大人まで心を掴む? 米津玄師、Foorin team E……各バージョンから伝わること
12月31日に放送される『第70回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)にFoorinが出演し、「パプリカ」を披露する。Foorinは米津玄師の作詞・作曲、プロデュースによる小中学生の音楽ユニット。同曲はNHK 2020応援ソングプロジェクトの「未来に向かって頑張っているすべての人を応援する歌」として制作された。2018年8・9月のNHK『みんなのうた』(NHK総合)にもなり、2019年にかけてロングヒットを記録。公式MV『「パプリカ」ダンス ミュージックビデオ』の再生回数は現時点で1億5千万回を突破した。本MVは〈青葉の森で駆け回る〉という歌詞の通り、緑豊かな場所で撮影されている。風に揺れる色とりどりの短冊のようなものや、風車などが飾られ、カラフルな世界観だ。そんな中、辻本知彦と菅原小春による振付のダンスを、メンバー5人が笑顔で披露するエネルギッシュな作品である。
その後、2019年8・9月の『みんなのうた』として、米津のセルフカバーverも公開。こちらは米津らしい打ち込みが入り、ノスタルジックな雰囲気が漂う。Foorinによる「パプリカ」は、今まさにはしゃぎ森を駆け回る等身大の彼らの歌に聴こえるが、米津が歌うと幼き日々を振り返る哀愁がある。MVのアニメーションは加藤隆が担当。同MVは、主人公2人が赤いマントの少年と森で出会い、様々な場所を3人で巡りゆく物語となっている。冒頭、港町に立つ家にある風鈴が描かれ、日本の夏の風景であることがわかる。この後も、風に揺れる風鈴が繰り返し登場する。ちなみに、Foorinの名前の由来は「パプリカ」を歌い踊る5人の姿を「風鈴」に例えて米津が命名したのだという。また、このMVは“風”が印象的だ。主人公の帽子が風に飛ばされるなど、登場人物の周りには常に強い風が吹いている。そして最後、赤いマントの少年が主人公たちと木陰で休んでいる時、風は止む。もしかしたらこのマントの少年は「風の子」なのかもしれない。その他にも、サウンド面では和楽器が取り入れられ、映像では縁側で涼むシーンや打ち上げ花火も描かれるなど、「日本」の原風景を感じさせるノスタルジックな作品となっている。
つづいて2019年12月・2020年1月の『みんなのうた』として公開されたのは、Foorin team Eによる全編英語歌詞の「Paprika Foorin team E version」。 「“Paprika”で世界中のみんなとつながってひとつになる」そんな大きな輪が広がることを目指し、5人の英語ネイティブの子どもたちが『Foorin team E』を結成したのだという。「team E」とはEnglish nativeチームの意味だ。本作は富士山のふもとで撮影された。日本を象徴する場所で多国籍の子供たちが元気いっぱいに歌い踊る姿は、異文化の融合を感じさせる。MVには英語の歌詞が表示されており、またteam Eメンバーによる日本人とは違った感性のパフォーマンスは新鮮みがある。最後には気球も飛び、このMVでも“風”が意識された。米津はMV公開後に自身のTwitterで「本家パプリカに引き続きコーラスでも参加しています。新たなteam EとPaprikaをよろしくお願いします」と話した(参照)。「Paprika」は12月2日にデジタル配信が全世界でスタート。世界に広がりゆく楽曲になりそうだ。