『ドールズフロントライン』の世界観をサントラから分析 ダークなエレクトロで“戦術人形”の感情を緻密に表現

『ドールズフロントライン』の世界観をサントラから分析 ダークなエレクトロで“戦術人形”の感情を緻密に表現

 戦術人形と呼ばれる実在の銃器を擬人化した美少女キャラクターたちを駆使した戦略性の高い編隊バトルや、ダークで過酷/シリアスなストーリーが人気を呼び、2018年8月の日本サービス開始以降、国内200万DL、全世界で1700万DLを超える中国のサンボーンによるスマートフォン用ターン制ストラテジーゲーム『ドールズフロントライン』。日本版の2周年を目前に控えた6月17日に、この作品の2作目のサウンドトラック作品『オリジナル・サウンドトラック2 / オーケストラ・コンサート ブルーレイディスク』が発売された。

 『ドールズフロントライン』の最大の特徴は、銃器の特徴を反映させて擬人化したキャラクターたちの物語を通して、機械に芽生えた心模様を描いていること。主人公は西暦2062年以降の荒廃した世界で、民間軍事企業・グリフィンの指揮官として戦術人形を指揮し、鉄血と呼ばれる敵との戦いを通して、彼女たちの絆や葛藤、過去などに触れていく。そうした物語を盛り上げる音楽は、中国の同人音楽シーンを母体に生まれた制作会社・Vanguard Soundが担当。一部楽曲には日本のベイシスケイプの作曲家も参加している。

 音楽的に見ると、『ドールズフロントライン』の楽曲の基盤になっているのは、ホーム画面をはじめとする多くのシーンで挿入される、ダークで機械的なエレクトロ~テクノ~アンビエント。作曲を担当したG.K氏によると、もともとグリフィンの戦術人形たちの雰囲気に寄り添ったものだそうで、激しい戦闘や戦術人形の心の揺れを描く物語の中心にヘヴィなギターサウンドを据えるのではなく、抑制されたダークなエレクトロを乗せることで、戦術人形(=機械生命体)の感情を際立たせている。同じく中国発のスマートフォンゲーム『アークナイツ』では、ホーム画面のBGMに中国の音階を取り入れているのに対して、『ドールズフロントライン』の場合は地域性を感じさせないスタイリッシュな雰囲気も特徴だ。

 とはいえ、サービス開始以降、そのBGMにも変化が生まれている。最初に起こった変化と言えるのは、初期からあった硬質のエレクトロビートに、徐々にオーケストラアレンジが加わる曲が増えたこと。この辺りの変化は、昨年発売されたサウンドトラック第一弾の楽曲を聴いてもらえばよく分かる。そして今回リリースされる『オリジナル・サウンドトラック2 / オーケストラ・コンサート ブルーレイディスク』では、「深層映写」「特異点」といった大型イベントの楽曲と、第八~第十戦役の楽曲などが収録され、前作以上に音楽性の幅が拡大。この原稿では、映像作品を除く『オリジナル・サウンドトラック2』の楽曲をまとめたい。

【ドールズフロントライン】「オリジナル・サウンドトラック2 / オーケストラ・コンサート ブルーレイディスク」(生産限定盤)Trailer

 冒頭の1曲目「Synthesis Catalyst」から6曲目「Mind Hack」までは、大型イベント「深層映写」の楽曲。404小隊が活躍する「深層映写」は、そのメンバーのひとり、UMP45の頭の中で封印されていた古い記憶データがフラッシュバックして蘇りはじめる序盤から、404小隊の仲間が彼女の電脳内部に潜る展開などを経て、知られざるUMP45の過去を紐解くストーリーになっている。そんな物語に対応するように、「深層映写」のBGMではピアノとグリッチのような細かい電子音を使い、記憶の断片が飛び交うような音を表現。特にそれが顕著なのは、細切れにした電子音が記憶の断片を連想させる「深層映写 E1」の「Adaptative Algorithm」と、高速ドラムンベースのようなビートの上でストリングスや電子音が乱反射する「深層映写 E2」の「Move On」だ。そのうえで、BOSSステージの楽曲「Barbarous Funera」では、激しいギターノイズを活かしたヘヴィロック的な楽曲と、エルム凪による五線譜を大胆に上下するボーカルで、過酷な戦闘や高ぶる感情が表現されている。

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