オンラインフェス『カクバリズムの家祭り』から考える、新たな音楽の届け方

『カクバリズムの家祭り』で感じた新たな音楽の届け方

 YOUR SONG IS GOOD、cero、在日ファンク、スカートなどを輩出してきたインディーズレーベル/マネージメント会社のカクバリズムが6月6日、オンラインフェス『カクバリズムの家祭り』を開催した。

 3月13日にceroが電子チケットによる配信ライブを開催し、約6000人が視聴。さらに思い出野郎Aチーム、YOUR SONG IS GOODの過去ライブ映像のオンライン上映、スカート・澤部渡とキセル・辻村豪文のYouTube Liveでの弾き語りなど、様々な形のオンライン配信を続けてきたカクバリズム。『カクバリズムの家祭り』は、緊急事態宣言が解除された後も、ライブハウスなどでのライブ、イベントの再開ができない現状を踏まえ、オンラインで行われた音楽フェスだ。出演者は辻村豪文(from kicell)、辻村友晴(from kicell)、二階堂和美、思い出野郎Aチーム、スカート、在日ファンクfeat.サイトウ“JxJx”ジュン, MC.sirafu、mei ehara、Hei Tanakaなど。さらにYOUR SONG IS GOODの吉澤成友(Gt)、グッドラックヘイワの野村卓史(Key)、キセルの辻村兄弟からなる新バンドyamomoも出演し、3時間を超える大充実のイベントとなった。

 チケットは電子チケット販売プラットフォーム・ZAIKOで前売券(1000円)と当日券(1500円)の2種類が販売され、投げ銭システムも準備。購入者にはカクバリズムの通販サイト「カクバリズムデリヴァリー」で使える10%オフクーポン券が送付された。イベントは、出演アーティストがそれぞれの自宅やスタジオなどで撮り下ろしたライブ映像で構成。サイトウ“JxJx”ジュンがMCをつとめ、アーティストの紹介や最新情報なども伝えられた。

 20時からスタートした同フェスのトップバッターは、在日ファンク。メンバーが自宅で録音した演奏をリモートで融合させた「嘘」(セルフ・リミックス)は、ゲスト出演したMC.sirafuのスティールパンを含め、アンサンブル、サウンドともに高品質。筆者はヘッドフォンで聴いていたが、この音の良さには驚かされた。

 さらにスカートが弾き語りで「CALL」「駆ける」などを披露(楽曲、演奏の素晴らしさはもちろん、緻密なコード進行を画面越しで確認できるのも楽しい)。ceroの髙城晶平のR&Bテイストたっぷりの弾き語り、キセル・辻村友晴のミュージックソーとハミングと口笛、イルリメの精緻にして叙情的なリリック(「トリミング」は本当に名曲)、Hei Tanakaによる民謡とファンクを融合させたエキゾチックな新曲、mei eharaの自宅録音による豊潤な歌とハーモニー、キセル・辻村豪文のフォーキーで奥深い弾き語り(途中、家の外から子供たちの楽しそうな声が聴こえてきた)と魅力的なパフォーマンスが続いた。

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