cero、最新作『Fdf』で示した2020年のモードとは 1stアルバム『WORLD RECORD』から現在に至るまでの音楽変遷を追う

 ceroというバンドは、アフリカ音楽への積極的なアプローチを行い、同時にリズムを強く意識してきた。

 たとえば2011年の1stアルバム『WORLD RECORD』に収録された「outdoors」の中盤からは、突然ブラジルのサンバが挿入され、それはブラジル北東部のフォホーをも連想させる。とはいえ、今『WORLD RECORD』を聴いてみると、この時代はまだまだアイデア重視。「ワールドレコード」では、The Beatlesの「Strawberry Fields Forever」のフレーズの上でラップし、「入曽」は、はっぴいえんどのようだ。随所でスティールパンが響いているのもこの作品の特徴である。

cero『WORLD RECORD』

 大きな転換点となったのは、2012年の『My Lost City』だ。タイトルナンバーの「マイ・ロスト・シティー」ではアフロとジャズが交錯しており、その後のceroならではのアフロサウンドへの萌芽がここにはある。「大洪水時代」の終盤ではフリージャズへと突入。「Contemporary Tokyo Cruise」の昂揚感も忘れがたい。かと思うと、アルバムの最後を飾る「わたしのすがた」はヒップホップだ。

cero『My Lost City』

 2013年10月27日、私は京都で開催された『ボロフェスタ2013』でceroのライブを見たのだが、演奏のフィジカルさに気圧されたほどだった。

 そんなceroがさらに歩を進めた傑作が2015年の『Obscure Ride』だった。幕開けの「C.E.R.O」からして、リズムを重視したバンドアンサンブルを展開し、それは続く「Yellow Magus(Obscure)」でも同様だ。本作でもっとも衝撃的だったのは、ナイジェリアのアフロビートを展開する「Elephant Ghost」だが、そこには同時代のヒップホップのリズムへの視点も明確にあった。「Wayang Park Banquet」のリズムもまたアフロだ。また、アルバム全体としてはソウルミュージック色も濃い。

cero『Obscure Ride』

 2016年には、ceroは『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)に出演することになるが、それはceroが細かい理屈を抜きにしても心地良いポピュラーミュージックを生みだすことに成功した結果だった。

 それでもceroは変化を止めない。2018年の『POLY LIFE MULTI SOUL』では、アフロビートの「魚の骨 鳥の羽根」のような楽曲もあるが、全体としてはジャズへの接近を強めていた。「夜になると鮭は」のようなアブストラクトなトラックがあるのも特徴的だ。この時期のceroは、アート・リンゼイやジェームス・ブラッド・ウルマーなどからの影響を語っている。

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