海蔵亮太、「愛のカタチ」の慰問コンサートに反響 “歌い手”を越えた“伝え手”としての魅力

海蔵亮太、“伝え手”としての魅力

 『第61回 輝く!日本レコード大賞』で、新人賞を受賞した海蔵亮太。認知症を題材にしたデビュー曲「愛のカタチ」が話題を集め、昨年から病院や介護施設を回って歌を届ける活動を行っている。デビューから約2年、同曲を歌い続け、多くの人に感動を与えている海蔵の歌。彼の歌には、どんな力があるのだろうか。

受け継がれた「愛のカタチ」を病院で

海蔵亮太「愛のカタチ」MV (Reissue ver.)

 「愛のカタチ」の原曲は、シンガーソングライターの中村つよしが、2008年にリリースしたシングルに収録された楽曲だ。認知症を患った中村の祖母が、他のことは忘れてしまっても祖父の名前だけは決して忘れなかったという、実体験を元にして作詞作曲した。当時放送されていた日本テレビ系の番組『誰も知らない泣ける歌』で同曲が紹介されるや大きな話題となり、様々なメディアで取り上げられることとなった。

 この「愛のカタチ」が生まれて10年が経ち、2018年に自分のデビュー曲としてカバーすることを選んだのが、歌手の海蔵亮太だ。自身の祖父が数年前に認知症になった経験を持つことから、同曲に対しては思い入れが深く、デビューのきっかけになった世界的カラオケ大会『KWC(Karaoke World Championships)』で歌ったのも同曲だった。これをきっかけに同曲の感動はさらに世の中に広まり、昨年は漫画『ペコロスの母に会いに行く』とのコラボMVも制作された。同漫画の作者であるマンガ家の岡野雄一も、母親が認知症になった経験を持ち、『ペコロスの母に会いに行く』は、その実体験を元に描かれたという。家族が認知症になった経験によって受け継がれたバトンは、そうやって海蔵によって受け継がれ、「愛のカタチ」は今また新たな展開を見せている。

 海蔵は昨年5月から、この「愛のカタチ」を広めるために、病院や介護施設を回る慰問コンサートを重ねているそうだ。きっかけは、認知症だった祖父が、4月に亡くなったこと。認知症の当事者や家族への配慮から、「愛のカタチ」を歌わないことも考えたそうだが、結果的に当事者やその家族の心を癒すことになり、施設の入居者や親族、そこで働く職員は、涙をこぼしながら同曲を聴いているという。この慰問コンサートは、看護師や介護士らの間で話題となり、海蔵は「ホスピタルプリンス」「泣き歌王子」と呼ばれ、全国から出演オファーが殺到している。

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