霜降り明星 粗品によるボカロ楽曲が支持される理由 レトロさ強調したサウンドへ“わかりみ”広がる

 普段はお笑い芸人としてキレのある笑いをお茶の間に届けている粗品だが、所属事務所である吉本興業の公式プロフィールに「趣味:アニメ、ゲーム、パソコン、音楽、麻雀、パチンコ、競馬」と記載されているように、彼は音楽にも広く精通していることで知られている。『人志松本のすべらない話』で語られた父親とハンドベルのエピソードなどで有名だが、粗品は絶対音感の持ち主でもあり、2歳から習っていたというピアノの腕前も特技と言っていいほどのレベル。2019年には、ユニバーサルミュージックによるクラシック音楽のキャンペーン「クラシックの100枚」の一環で、世界的ピアニストのラン・ラン、女優でピアノもたしなむ土屋太鳳と共に、クラシックの有名楽曲をマッシュアップしながら演奏するコラボレーションに挑戦したこともある。

クラシック・マッシュアップ – ラン・ラン/土屋太鳳/粗品 Classical Music Mashup – Lang Lang/Tao Tsuchiya/Soshina

 そのようにしっかりとした音楽的素養を持ち、アニメやゲームといったカルチャーをこよなく愛する彼が作ったボカロオリジナル楽曲だからこそ、ボカロやニコニコ動画の文化に親しんできた彼と同世代の人たちを中心に支持を広げているのだろうし、「懐かしさ」や「わかりみ」のある楽曲として受け入れられているのだと思う。時代の移り変わりと共に先鋭化が進むボカロシーンに、あえてレトロ感を強調したのであろう、粗品の楽曲が一石を投じることになるのか? ボカロPとしての彼の今後の動きと併せて注目していきたいところだ。

■流星さとる
流浪の人。アニメ・声優・アニソン関連のライター仕事、よろず承ります。お問い合わせは【ryuseisatoru@gmail.com】までどうぞ。

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