ドージャ・キャット「Say So」なぜ世界的ロングヒット? TikTok発、次世代アーティストの成功を辿る
「Say So」ダンスは芸能人やセレブにも拡散。海外ではセレーナ・ゴメスやジェームス・チャールズらの投稿が話題となり、ここ日本でもマルチタレントのけみお、バーチャルタレントのキズナアイ、双子TikTokerのりかりこがダンス動画を投稿。国内における「Say So」の認知も着々と広がりつつある状況だ。
@selenagomez @lola.amitha my girl taught me something on tik tok. I’m new. But Lola is awesome
@mmkemio 日曜日
@kizunaai0630 このダンスに夢中になってしまった( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )##kizunaai ##キズナアイ ##vtuber ##foyoupage ##fyp ##dojacat ##踊ってみた
日本といえば、「Say So」の日本語カバーも大きな話題となった。しかもそれを投稿したのは、なんとインドネシア人YouTuberのレイニッチ・ラン。日本文化への関心を公言してきたドージャもこのカバーには胸を打たれたようで、自身のInstagramでレイニッチの歌声を絶賛。このカバーをチェックするようにと興奮気味に呼びかけていた。
ここまで「Say So」を取り巻くバイラルヒットの変遷をざっと追ってきたが、ここでひとつ断っておきたいのが、ドージャはソーシャルメディアの活用に長けた戦略家である以前に、優れたシンガーであり、ソングライターであるということだ。画家の母と作曲家で映画プロデューサーの父の間に生まれ、幼い頃からピアノやダンスを学び、兄の影響で早くからラップスキルも磨いてきたドージャ。彼女が「Say So」というヒット曲を生み出せたのは、こうした下積みがあったからこそなのだ。
また、同曲の日本語版がインドネシアで生まれたことは、近年の東南アジアにおける日本産ポップスの需要、ひいては欧米を含めたシティポップの再評価とも無縁ではないと思う。現行のR&Bやラップミュージックと、70年代のシルキーなファンクサウンドを接続させた「Say So」は、きっと日本のポップリスナーの琴線にも触れるはずだ。
1979年にChicが発表したディスコクラシック「Good Times」のスムースなギターリフをサンプリングし、MVでも70年代のディスコを再現してみせた「Say So」は、いまやTikTokユーザーを越えて幅広い層で支持を集めている。そんな中、ドージャは今年、映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』に新曲「Boss B*tch」を提供し、さらなる認知を広めた。現在の音楽シーンを席巻するTikTok発のスターたち。2020年にそのクイーンの座を射止めるのは、間違いなくドージャ・キャットだ。
■渡辺裕也
文筆業。ミュージック・マガジン/サイン・マガジン/MUSICA/音楽と人/クイック・ジャパン/Mikiki/OTOTOY/ビルボード・ジャパン/ナタリー/月刊ラティーナ/ロッキング・オン・ジャパン等に寄稿。
■リリース
ドージャ・キャット『Hot Pink』
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