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リル・ナズ・Xは、なぜブレイクを果たした? 「Old Town Road」全米17週連続1位の背景

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「昨年10月、アーティストとしての自信を失いつつあった頃、僕はユーチューブでビートを探していた。すると突然、カントリー・トラップ調のマスターピースに出会ったんだ。その瞬間、自分はこのビートで何か特別なものを作るだろうと確信したよ」

リル・ナズ・X『Old Town Road』

 8月3日付の米ビルボード「Hot 100」で17週連続1位を獲得し、ついにビルボード史上最長No.1記録を更新した「Old Town Road」(参照)。この記録達成をうけて、リル・ナズ・Xは同曲が誕生した日のことをInstagram上でこのように振り返っている。

 事実、当時19歳のリル・ナズ・Xはアーティストとしてほぼ無名に等しい存在だった。少なくとも、彼がこれほどの成功を手にすると予見できた人は、間違いなく誰もいないだろう。

 では、リル・ナズ・Xのブレイクは偶然の連鎖から生まれたシンデレラストーリーなのか? いや、この話はそう単純ではないのだ。

 「Old Town Road」がリリースされたのは、2018年12月3日。前述のとおり、オンライン上で発見したトラックにピンときたリル・ナズ・Xは、このトラックを制作者のオランダ人プロデューサー=ヤング・キオから30ドルで購入している。ナイン・インチ・ネイルズ「34 Ghosts Ⅳ」からサンプリングしたバンジョーの音色と、TR-808のトラップビートで構成されたトラックは、その組み合わせからすれば「カントリー」とは程遠いようにも思える。しかし、リル・ナズ・Xはそれを「カントリートラップ調のマスターピース」と捉え、孤独なカウボーイをモチーフとしたリリックを重ねたのだ。

 無名のラッパーにすぎないリル・ナズ・Xが発表した「Old Town Road」は、当然ながらリリース後すぐにチャートインすることはなかったが、その間に彼は同曲を宣伝するためのインターネットミームを用意し始めていた。ここで興味深いのが、かつて彼はTwitterでニッキー・ミナージュのファンアカウントを運営していた、ということ。つまり、彼はその頃にいくつものバイラルツイートを作成していた経験から、ソーシャルメディアでバズを起こす術を心得ていたのだ。

 こうした仕込みが結実したのか、2019年2月頃から「Old Town Road」は動画投稿アプリ・TikTokでバズを起こす。同曲に合わせてカウボーイ/カウガールに扮する「Yeehaw Challenge」が次々と投稿されたことによって、「Old Town Road」はストリーミングでの再生回数を一気に増やし、さらには次々に投下される動画が手伝って、「Old Town Road」=カントリートラップというイメージも定着していくのだ。

      

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