乃木坂46 白石麻衣、Juice=Juice 宮本佳林、さくら学院ら相次ぐ卒業延期 コロナ禍でアイドルシーンに起こる前代未聞の事態

 卒業延期を決めたアイドルで共通していることは「ファンに直接感謝を伝えたい」という思いだ。アイドルはファンとの関係性が重要である。ライブや握手会などで交流し絆を深めている。だからこそ卒業後の活動に影響が出るとしても、ファンを思って卒業延期を決めるアイドルが多いのかもしれない。

 さくら学院はパシフィコ横浜で5月29日に開催予定だった、2019年度卒業公演『「The Road to Graduation 2019 Final ~さくら学院 2019年度 卒業~』の延期を決めた。元々は3月29日に行う予定だった公演を5月に延期したので、再延期を決めたことになる。さくら学院には、メンバーの中学卒業とともにグループも卒業するというコンセプトがある。コンセプトを忠実に守るならば卒業公演をしないという選択があるのかもしれないが、延期するということは、ファンへの感謝を直接伝えたいという思いがあるのだろう。メンバーだけでなくグループ全体としても、ファンに対する思いを持っているのだと感じる。

 中には、延期を決めずに卒業やグループ解散をしたアイドルもいる。しかし彼女たちは延期をしなかったからと、ファンをないがしろにしていたわけではない。

 アンジュルムの室田瑞希は当初の予定通り3月22日にグループ卒業をした。卒業公演の『ひなフェス』は無観客ライブとしてCSテレ朝チャンネル1で中継されている。こぶしファクトリーも予定通り3月30日にグループを解散した。解散当日は無観客の卒業公演をCSテレ朝チャンネル1と映画館のライブビューイングで中継した。彼女たちは直接ファンに感謝を伝えることができなかったが、集大成ともいえる最高のパフォーマンスで最後の日を迎えていた。卒業日に向けて準備をしてコンディションを整えてきたのだと思う。生配信を行うことで、より多くの人が最後を見届けることもできた。予定を変えずに最高のコンディションで最高のパフォーマンスで有終の美を飾ることも、ファンのことを思う形の一つに感じる。

 4月26日に解散したはちみつロケットは、解散ライブ自体は中止になったものの、解散当日はニコニコ生放送でグループの軌跡を振り返る配信を行った。視聴数は1万4千人を超え、メンバーも出演しファンに向けて感謝の言葉を語っていた。

 卒業延期を決めたアイドルも、延期せずに卒業や解散をしたアイドルも、様々な事情や思いがあって決断したはずだ。しかし、どのような形だとしてもアイドルにはファンを思う気持ちがあり、その上での決断したことは共通している。新型コロナの影響はアイドル業界にとっても大きい。しかし直接会うことができずとも、アイドルとファンの間には絆があるのだと感じる出来事でもあった。アイドルの活動やファンの応援方法に制限がかかってしまっても、アイドル文化はなくならない。簡単には崩れない絆がアイドルとファンの間にはあるのだ。

■むらたかもめ
オトニッチというファン目線で音楽を深読みし考察する音楽雑記ブログの運営者。出身はピエール瀧と同じ静岡県。移住地はピエール中野と同じ埼玉県。‬ロックとポップスとアイドルをメインに文章を書く人。
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