木村昴は、いかにしてシーンにおける「ヒップホップの伝道師」に? ラップの輪を広げた声優活動を辿る
そしてここでぜひ触れておきたいのが、朝の子供向けバラエティー番組『おはスタ』(テレビ東京)内で放送されていたアニメ『Bラッパーズストリート』(2019年)だ。子供向けのショートアニメとなる本作で木村は主人公のヨーヘイ役を担当。おイモを食べてオナラップをかますのが得意技という、いかにも子供が喜びそうな設定を盛り込みつつ、ヒップホップやラップの楽しさをキッズに向けてわかりやすく伝える作品として、木村にとっても意義深い仕事になったはずだ。なお、本作にはCreepy NutsのR-指定とDJ松永がゲスト出演。劇中では人気ヒップホップユニット・クリープーナッツの「Rしてえ」と「DJシャツ長」として、自身の代表曲「助演男優賞」の替え歌を披露、さらにヨーヘイとの手に汗握るMCバトルも展開した。
このように木村は、アニメやゲームでの声優活動を通じてラップの魅力を幅広い層に伝えつつ、2019年3月には、『フリースタイルダンジョン』への出演で知られるラッパーの掌幻と共にラップユニットの「掌幻と昴」を結成。現在までに「NEW CHAPTER」「HOT SUMMER」といった楽曲のMVをYouTubeにアップし、ラッパーとしての活動を本格化させている。また、同年4月からは『フリースタイルダンジョン』のナレーターを担当。今やアニメ/声優シーンとヒップホップシーンを繋ぐ架け橋的な存在となっている。
しかも同年6月に放送された『ドラえもん』(テレビ朝日系)の特番『お引越し記念!ドラえもん誕生日スペシャル』では、ジャイアンとして初めてラップを披露。『ヒプマイ』で共演している速水奨が演じるゲストキャラクター・ミスターマキャロンのラップを含め、劇中に登場したラップソングは木村が自ら監修を務めたという。自身の声優としてのルーツである『ドラえもん』の世界にもラップの輪を広げ、ヒップホップ文化の面白さを拡散し続けている彼。この夏にはTVアニメ『「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」Rhyme Anima』(TOKYO MX)の放送も決定しており、木村の磨き抜かれたライムとフロウはこの先ますます必要とされることだろう。
■流星さとる
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