七海ひろき、アルバム『KINGDOM』で表現する“新しい世界”「みんなが温かく支えてくれるから今の私がある」

七海ひろき、アルバム『KINGDOM』で表現する“新しい世界”「みんなが温かく支えてくれるから今の私がある」

 昨年3月に宝塚を退団し、8月にミニアルバム『GALAXY』でアーティストデビューを果たした七海ひろきが、1stフルアルバム『KINGDOM』をリリース。今作では七海自身が全曲の作詞、「愛し君へ」では作曲も手がけており、アーティストとしてまた一歩前進した作品になった。今作の制作にあたり、ある王国の双子の王子の物語を創作したという七海。今作に込められた物語とメッセージ、そしてファンへの思いとは? そして“七海キングダム”はどんな王国を目指すのか?(榑林史章)

「KINGDOM」は双子の王子の物語

ーー先日の生配信でもお話をされていましたが、宝塚退団から1年が過ぎ、声優の仕事も着実に増え、舞台にも出演しましたが、改めてどんなお気持ちですか?

七海ひろき(以下、七海):この1年は中身がとても濃かったので、あっという間でした。この1年に出会ってくださったさまざまな方たちへの、感謝の気持ちでいっぱいです。それと同時に2年目となる2020年はとても大事なタイミングだと思っているので、もちろん以前から応援してくださっている方との時間や共有してきたものを大切にしながら、七海ひろきをもっと知ってもらえるように、いっそう頑張っていこうという気持ちです。

ーーそんな2年目のスタートを切るのが、今回のフルアルバム『KINGDOM』で、今作では全曲の作詞もされています。曲調はバラエティに富んでいて、歌詞も物語性のあるものや、メッセージ性のあるものなどさまざまです。作品として、どんなものにしたいと思いましたか?

七海:フルアルバムで11曲あるので、いろいろな曲があったほうが楽しく聴いていただけると思って、ノリの良い曲もあればバラードもあって。頑張っていこう、盛り上げていこう、漕ぎだしていこうといった曲もあり。ときには和むような曲で癒やされて欲しいと思って「QQ」という曲も入れました。1曲1曲がひとつの作品であり、その1曲1曲が集まって『KINGDOM』というアルバムになるよう目指しました。11曲全て作詞をさせていただいたので、完成したときは達成感があったと同時に感無量でした。

ーー『KINGDOM』というアルバムタイトルは、どんなイメージで付けたのですか?

七海:直訳の通り“王国”をイメージしています。前作は“みんなで銀河を見に行こう”というイメージで付けました。今回は、現在応援してくださるみなさんやこれから出会う方々と一緒に楽しく笑って過ごせる素敵な国を作りたいという想いで付けました。

ーーまずリード曲の「花に嵐」についてですが、ビッグバンドジャズのサウンドでミュージカルっぽさもありますね。歌詞を書くときに『ロミオとジュリエット』もイメージされたそうですが。

七海:昔のシェイクスピアではなく、現代版の『ロミオとジュリエット』のようなイメージです。最初に曲を聴いたときに、ドラマティックな曲調でミュージカルっぽい雰囲気を感じました。そこで出会ってはいけなかったふたりが出会ってしまった、禁断の恋のストーリーにしたいと思いました。

ーー「花に嵐」という言葉には、どんな意味があるのでしょうか。

七海:于武陵(ウ・ブリョウ)の「勧酒」という漢詩に出てくる言葉です。寺山修司さんなどいろいろな小説家が訳されているのですが、私はそのなかでも井伏鱒二さんの訳詩が好きで、そこに「ハナニアラシノタトヘモアルゾ “サヨナラ”ダケガ人生ダ」という一節が出てきます。それが学生時代から好きで、いつか自分で歌詞を書くときがきたら使いたいなと思っていたのが、今回ついに叶いました。歌詞には〈月に叢雲〉という言葉も出てくるのですが、それも故事に出てくる言葉で、どちらも「美しい花も嵐がくれば散ってしまう、人生とは儚いものだ」といった意味です。限られた時間のなかでどう生きるか、ということをメッセージとして込めたいと思って書きました。

七海ひろき -「花に嵐」 [MUSIC VIDEO]

ーー情熱的な恋愛のシーンもイメージさせる曲で、前作の歌詞はファンへのメッセージが多くて、こういう恋愛の物語を歌詞にしたものはなかったですよね。

七海:そうですね。今回は『KINGDOM』というタイトルからひとつの物語をイメージして、そこから派生して生まれた別の世界線の恋愛物語が何曲かあります。これはあくまでも私の想像の世界なのですが、『KINGDOM』という物語の主人公は王族の血を引く双子の王子で、初回盤ジャケット写真に写っている、黒いシャツを着ているのが弟くんで物語の主役。ちょっとヤンチャだけどみんなのリーダーでもあり、人を惹きつける魅力を持った人気者です。通常盤の白いシャツを着ているほうがお兄さんで、ちょっと病弱だけど心優しくて、弟のことをいつも気に掛けています。そういうふたりの物語が浮かんで、ジャケット写真もこのようにしました。

ーーラストに収録されている「KINGDOM」という曲の歌詞が、その双子の王子の物語を歌ったものですね。

七海:そうなんです。1番は弟くん、2番はお兄さんをイメージして書きました。また4曲目の「ラビリンス」という曲も同じ世界線の物語で、あまり私から答えを出しすぎて、みなさんの想像を邪魔しても良くないのですが……「ラビリンス」は、弟くんが辛い思いをしたときの気持ちを想像して作詞をしました。

ーー「ラビリンス」には、〈自分の存在価値を 探しながら生きていた〉、という歌詞も出てきますが、七海さん自身もそういうことを考えたことがありましたか?

七海:上手くいかないことは、宝塚時代にもありましたし、日常でもなかなか上手くいかなくて悩むことはあります。誰しもが迷ったり、悩んだりすることがあると思うので、そういうときに聴いてもらえたらと思います。無理に頑張れとか、立ち上がれというのではなく、気持ちに寄り添えるような曲を作りたいなと思いました。

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