“PRIZMAXとホリックだけの世界”を極限まで追求ーー無観客&生配信によるラストライブをレポート

PRIZMAX、無観客ラストライブレポ

「今日はみなさんが最前で観ている気持ちだと思うので、僕たちも最前のカメラを見ながら頑張ります!」(ケビン)

 国内はもちろん、アジア圏でも注目を集めるダンス&ボーカルグループ・PRIZMAXのラストライブ『PRIZMAX Live Level 0 ~FINAL~』が、3月27日に日テレらんらんホールにて開催された。新型コロナウイルス感染拡大防止のため無観客で実施され、その模様がニコニコ生放送で中継されるという形にはなってしまったが、配信ライブでしか実現しえないアイデアを目いっぱい詰め込んだ内容となった。生中継時で最高1万6千人超の国内・海外ホリック(PRIZMAXファンの愛称)が、冒頭のケビンのMC通り“最前”で見守る形となった。

 旧表記のPrizmaXでCDデビューを果たした記念日に開催され、本来ならば『Level 10』と銘打たれるはずだった同ライブ。そのタイトルの意味合いを「僕たちの一番のオリジナル、元の姿を意識して見せたい」(清水大樹、以下、清水)と囲み取材で語った彼ら。当日はここ近年のライブ用に制作されたアレンジバージョンではなく、オリジナル音源をメインにパフォーマンスが展開されていった。

 18時すぎに中継がスタート。2015年にスタートしたライブ“Levelシリーズ”のハイライトシーンをコラージュしたオープニング映像が流れている頃、6人はステージで円陣を組み「We are PRIZMAX!」の掛け声とともに勢いよく肩を叩き合っていた。

 1曲目に繰り出されたのは、彼らの“始まりの曲”といえる「Mysterious Eyes」。会場内をマイクロドローンが浮遊し、さまざまな角度から6人の表情や動きをつぶさに捉えていく。観客との掛け合いがあるラップパートでは清水が客席にマイクを向けるなど、画面の向こうのホリックたちを意識したステージングで魅せていく。

 冒頭のMCでは「こんな大事な日にホリックを呼ぶことができなかったのが本当に辛くて寂しいんですけれども。どんな形であってもしっかりとみなさんの心に届けるライブをお送りするので、最後まで見届けてください!」とリーダーの清水が、そして「コロナのバカーーー!!! でも僕らができるのはエンターテイメントを伝えていくことだと思うから、今日は楽しもう!」などとダンスリーダーの島田翼(以下、島田)が挨拶。画面越しではあるが、観客とのコール&レスポンスを楽しんだりする様子がなんとも微笑ましかった。 

 続く「OUR ZONE」も懐かしのオリジナル音源で披露され、歌パートでは森崎、森英寿(以下、森)、ケビン、ラップパートではパフォーマーの小川史記(以下、小川)から清水とマイクリレーする形で披露していく。PrizmaX/PRIZMAX楽曲中でもダンスの運動量の大きさでは群を抜いている同曲を、加入前はダンス未経験だったというケビンと森が踊りこなしていたのも感動的だった。

 続く「Someday」ではメンバーがステージ上のカメラを囲むように立ち、まさに配信ライブならではの見せ方で楽曲を届けていく。森崎はもともと歌唱力に定評があったが、主演ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』を経て歌声にさらに安定感が備わり、続く自作曲「Never」での歌唱などは圧巻の域だと感じた。グループのレパートリーの中でこの曲を一番好きだと語っていた小川の、情感溢れるダンスも印象深い。

 こういったしっとり系の楽曲はもちろん、カラッと明るくポップな楽曲も彼らの持ち味のひとつ。続く「Pleasure」では小川を筆頭に煽りを入れつつ、客席まで降りてワイワイとパフォーマンス。サビのハンドサインの振付をレクチャーする際の「開いて閉じてちょんちょん、ですよ!」(森崎)という説明にも懐かしさを感じたホリックが多かったのではないだろうか。

 この後のMCでは、ズラリと過去のツアーTシャツが並べられた客席でニコ生の画面を見ながらコメントを読み上げつつ「そんなにコメントしたら俺らの顔が見えないよ?」(森崎)などとはしゃいでいた6人。そして「デビュー前からPRIZMAXを支えてくれた楽曲を久しぶりに、しかも6人バージョンで初めてお披露目したいと思います」(清水)という言葉ののちに投下されたのが、メンバー紹介曲「HANDS UP」(※未音源化)だ。衣装の生着替えと同時進行で、小川がシャツの襟元をはだけつつ〈赤ちゃんと思ったら後悔するよ?〉、ケビンは〈ここでけびの番〉〈横浜生まれ横浜育ち〉など原曲をモチーフに、森も〈プリズの末っ子 その名はもーりー いつでもボケっとお子ちゃまボーイ〉などと、自己紹介ラップを披露。同曲が『Level 1』で披露されたことを思い出すと、現在の6人を紹介する意味合いがあるのはもちろん、まさに原点に帰るための選曲でもあったのではないだろうか。

 人気曲「Lonely summer days」ではメンバー自らニコ生にコメントを投稿し、画面上がコメントの嵐に。森がケビンの膝に座って歌ったり、パフォーマーが歌詞を口ずさみながら踊ったり、歌パートにもアドリブ参加するなど、これもまた一つのPRIZMAXらしさといえるアットホーム感を体現していく。

 ワルツのリズムが特徴的な「夢唄」ではケビンの軽やかなピアノ演奏に合わせ、繊細な持ち味のダンスを展開していく。彼らのバラード曲の中でも人気が高い「春空」は、ケビンがピアノ、森がパーカッション、森崎がアコギを弾き語る形で披露。歌い出しの森、そのあとケビンも涙で歌えなくなってしまい、森崎がフォローしながら歌うひと幕もあった。少年っぽいあどけなさが魅力だった森崎の表情がここ数年ですっかり大人になっていて、そんな変化にもこちら側が涙を誘われるポイントがあったように思う。

 島田が「この環境でやってみて、みんなから普段もらってるエネルギーってすごく大きかったんだなって……失って気づくものがたくさんあって、生でエネルギーを掛け合いできるのはすごく幸せなことだったんだなって思う」とMCでポツリ。そんな中で、ラストシングル収録の「愛をクダサイ」がスタートした。シルキーなハイトーンの森崎、熱量とウェット感を掛け合わせたようなケビン、ハスキーなミドルボイスの森と、3人の声の魅力を存分に堪能できる同曲。特にエンディング付近のケビンの歌声のエモーショナル感には圧倒された。BPM的にそれぞれのダンスの個性が光る佳曲でもあり、音やリズム取り方に独特の色を濃く感じさせる清水のパフォーマンスなどにも目を奪われつつ、エンディングのラップを〈ありがとう ホリックNo.1〉と歌い替えた辺りにも涙腺を刺激された。

森崎 ウィン
森 英寿
小川 史記
ケビン
島田 翼
清水 大樹
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小川 史記
ケビン
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