大塚紗英、鬼頭明里、伊藤美来、水瀬いのり……冬アニメでも注目集める声優アーティスト楽曲をピックアップ
“冬アニメ”と称される現在放送中のTVアニメも折り返しの時期を迎え、各作品の主題歌収録シングルなども次々と発売されてきた。ストリーミングサービスの本格稼動後、作品のフィジカルリリースを前に、TVアニメサイズでの楽曲視聴が可能となるケースは増えたものの、それでも最も話題性が高まるのは、カップリング収録曲を含めて、作品として完全な形でリスナーの手元に届くリリースタイミングだろう。そこで本稿では、この1カ月間で発売された声優アーティスト作品を、カップリング曲などにも触れながら振り返りたい。
まずは、声優アーティストとして“新人”の枠組みに収まるだろう2名より紹介しよう。本日2月26日に、デビューミニアルバム『アバンタイトル』を発売する大塚紗英。声優としてのキャリアはまだ発展途上ながら、デビュー作『BanG Dream!(バンドリ!)』より誕生したPoppin’Partyのメンバーとしてすでに知名度は高い。
そんな大塚は、5歳で初めて作詞を経験し、15歳の頃より地元・横浜でストリートライブをしてきた生粋のシンガーソングライター。『アバンタイトル』には、TVアニメ『エッグカー』(テレビ東京系)主題歌「What’s your Identity?」のほか、ライブ人気曲「ぬか漬け」を収録している。
「ぬか漬け」の歌詞は、この4文字からは想像もできないような、周囲の環境に踠きながらも“自分を見つけてほしい”と歌う、切れ味鋭いアイロニカルさを含んだもの。大塚は以前に、自身の人生の主軸として「自分の伝えたいことや言いたいこと」を「音楽にして届けるために生きていきたい」と語っていたが、その説得力は計り知れない。多忙な現在も1週間に最低1曲は制作するという大塚。彼女の刻む歌詞は口だけではない、人生に裏打ちされた作品であり、本作はデビュー作ながらも、これまでの“集大成”に相応しい一作となるのだろう。
続いて、昨年10月にシングル『Swinging Heart』で音楽活動をスタートした鬼頭明里。彼女も本日2月26日に、2ndシングル『Desire Again』を発売する。学生時代よりカラオケで自身の歌声を録音し、その出来栄えを日常的にチェックしていたという彼女。その習慣がすでにアーティスト然としており、特技に「歌うこと」を挙げるのにもしっかりと頷ける。
今作『Desire Again』には、TVアニメ『地縛少年花子くん』(TBS系)エンディングテーマ「Tiny Light」を収録。流れるようなピアノの旋律に始まり、サビから徐々にバンドサウンドが重なるドラマティックな構成に。彼女のハイトーンボイスも非常にマッチした一曲だ。あわせて、3曲目「Closer」にも注目しよう。前作シングルの「Always Going My Way」に続き、今回もライブ映えするアッパーチューンが収められた作品のラストナンバー枠。彼女曰く「苦手で避けてきた」という英語詞が特徴的な「Closer」は、とても流暢な発音が気持ちよく、ライブでの一体感が今から楽しみだ。
彼女たちと比較して、“キャリア組”になるだろう2名の話題に移りたい。まずは、2月5日に8thシングル『ココロソマリ』を発売し、今年12月に音楽活動5周年を迎える水瀬いのり。自身作詞の表題曲を含めて、とにかく語りどころの多い同作だが、その詳細は以下の記事にて満遍なく拾われているため、ここではその紹介のみに留めたい(参考:TAKU INOUE、篠崎あやと、ケビン・ペンキン……クリエイター陣が魅力を際立たせるアニメ/声優ソング)。